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12月号 「過活動膀胱(OAB)」

 過活動膀胱(overactive bladder:OAB)とは、自分の意思と関係なく膀胱が勝手に収縮し、頻尿や尿もれを引き起こす病気です。
しかし、トイレが近くなったり、おしっこが少しもれたりしても、それを病気のせいとは思わないため、病院を受診する人はごくわずかです。
実は、同じような悩みをひとりで抱え込んでいる人が大勢いるのです。
頻尿や尿もれなどの症状に思い当たったら、ひとりで悩まず、解決策を探ってみませんか。
まずは、病気のことを、よく知りましょう。

OABは、2002年に国際尿禁制学会によって定義された新しい症候群です。突然の強い尿意を覚えて我慢できなくなる「尿意切迫感」という病的な知覚を主症状とする症候群であり、全世界での頻度は10~15%以上ともなり得る頻度の高い症候群です。日本での調査でも、OABは40歳以上の8人に1人(12.4%)実に810万人にものぼり、そのうちの約半数には尿もれもあるといわれています。このような症状があると、生活に何かと不便で、外出も控えがちになり気分も落ち込むことが多く、患者様のQOLを大いに低下させてしまうわけです。
OABを診断するためには、症状を確認することが最も重要なため、以下に示す問診票が用いられます。
検査は他の病気(膀胱がん、前立腺肥大症、前立腺がん、膀胱結石など)を除外するために行われますが、通常難しい検査や痛い検査はありません。
治療は、抗コリン剤という、膀胱の収縮を抑える作用の薬を飲むことが多いですが、膀胱や骨盤底筋をトレーニングする方法もあります。

トイレが気になり、日常の生活を明るく過ごすことができないのは辛いことです。問診票をみて、当てはまることが多い方・・・1日も早く専門医を受診されることをおすすめします。

 


右京医師会 井上 亘

11月号 「膝の水を抜くと癖になるか?」

 患者さんから膝の水を抜くと癖になりませんか?
と質問されることがよくあります。答えは“なりません。”
膝関節は関節包という袋のようなものがあり、関節包の内面にある滑膜から関節液(水)が分泌され、潤滑油のような働きをして吸収されています。関節液の分泌と吸収のバランスが崩れると分泌量が多くなり、関節に水が溜まった状態になり、膝の曲げ伸ばしが不自由になります。
水を抜くと症状が劇的によくなり、治ったと勘違いするのです。水の溜まる原因は 関節に炎症(関節炎)がおこっているからです。水を抜くのも一つの大切な治療ですが、炎症の原因を診つけて治療をしないと根本的な解決にはなりません。水の溜まる病気には変形性関節症、化膿性関節炎、関節リウマチ、などがあります。
抜くと癖になるからといって我慢すると膝の病状が悪化する可能性があり、まず整形外科専門医に相談をして適切な処置をうけるようにしてください。

右京医師会 菱本 修

10月号 「ニキビの話」

 思春期になると、体内で性ホルモンが産生されるようになります。これにともない皮脂の分泌量が多くなりこれが毛穴に詰まることによりニキビが発症します。
思春期の方に発症するとニキビ、成人に発症すると吹き出物といわれますが、医学的には全く同じもので、性ホルモンが分泌されている間、すなわち思春期から更年期までの間では、何歳であっても発症します。
毛穴に少しだけ詰まった段階では、皮膚にぷつぷつと盛り上がった白ニキビなのですが、これが化膿すると赤ニキビとよばれる炎症を起こしたニキビとなりますし、詰まった皮脂により毛穴が押し広げられて酸化され黒くなった皮脂がみえる状態のものを黒ニキビといいます。赤ニキビの状態を長期間放置することにより「あばた」とよばれるニキビ痕を生じてしまうため、抗生物質の飲み薬や塗り薬を使って炎症を抑える治療を行います。
皮膚科での保険治療では、この抗生物質による治療がメインの治療だったのですが、美容的に満足出来ない方も多くおられたのが実情です。そこで最近ケミカルピーリングやビタミンCのイオン導入などが行われるようになりました。また油溶性のビタミンCを用いた化粧品も開発されるようになり、ニキビ肌を改善する
手段が増えてきました。
加えて、本年10月からニキビの新薬が発売されます。この薬は、毛穴の中で最も皮脂の詰まりやすい部分を改善する作用があり、白ニキビの段階から使ってニキビを予防することもできるようになります。また、皺にも有効?だそうです。ニキビに良く効く反面、副作用もあり、使用にあたっては皮膚科の先生によく相談されることをお勧めします。

右京医師会 河合敬一

9月号 「美人貧血」

 貧血になると肌の色が白くなり、きれいに見える。色白美人になるわけである。色が白くなるだけではなく、時々、頭がくらくらしたり、息切れしたりする。これもまた私って繊細なんだわ、と肯定的に受け止める。
こういう生活が長く続くと、動くだけで体がしんどい、だるいと感じるようになり、何をするのもおっくうになる。性格もおとなしく、ときに後ろ向きになり、ため息ばかりついているようになる。
女性の場合、月経血の量が多すぎる人が、こういう貧血になりやすい。ところが、月経血の量が多いか少ないのか、自分ではわからないことが多い。そういうことを他人と比較することもふつうしないことである。標準量は200ミリリットルといわれている。しかし、測定することは実際上むずかしい。
下まぶたをひっくり返して、鏡で見るのが良い方法である。アカンベエの顔にするわけである。健康な人であれば、ピンク色をしている。貧血になると、淡いピンク色になる。それでも自分でわからないという人はどうするのがいいか?
他人のと比べたり、医療機関で見てもらうといいだろう。貧血がこうじて短命になるのをふせぐことをこころがけてほしい。

右京医師会 田中 啓一

8月号 「糖尿病の合併症とは」

糖尿病の合併症は血糖値上昇の持続により起こり、三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)と動脈硬化などがあります。

1)網膜症:初期には自覚症状はなく、悪化により目の前に黒い点がちらついたり、黒や赤のベールが視界をさえぎる症状が出現し、進行すると失明します。
2)腎症:腎症になり蛋白尿が多量に出るとむくみ(浮腫)や血圧上昇を招き、悪化するとむかつきやだるさを自覚し尿毒症となり人工透析が必要となります。
3)神経障害:末梢神経障害と自律神経障害があります。抹消神経障害は左右対称に手や足の指先がじんじんしたり、しびれや痛みを感じたりします。
進行すると怪我でも痛みの自覚なく怪我から化膿して足の切断が必要となる事もあります。自律神経になると胃もたれ、排尿困難やインポテンスなどの症状が現れます。
4)動脈硬化:比較的太い血管の動脈硬化で起こり、脳梗塞、心筋梗塞や下肢の血流障害などを起こします。

これらの恐い合併症を起こさないために、糖尿病は40歳代頃から増え始めるので、特に40歳代以降の人は健康診断などによる早期発見及び早期治療が重要です。

右京医師会 山田 惠三

7月号 「VDT症候群とは」

現代は、パソコンやテレビゲームなど私たちの身の回りにはVDTがたくさんあります。
VDTを使った長時間の作業により目や体や心に影響のでる病気のことをVDT症候群とかテクノストレス眼症といいます。1日の連続作業時間が長くなればなるほど目に関する訴えが多くみられます。目が疲れる、目がかすむ、目が痛いなどひどくなると額の圧迫感やめまい、吐き気まで起こすことがあります。そこで、目をいたわることが大切になるのです。

VDT作業のアドバイス
① 1時間VDT作業をしたら10~15分休憩をとるようにしましょう。
その間ホットタオルなどで目を温めると血の巡りがよくなります。
② 時々、体を動かし緊張をほぐしましょう。
③ 目にできるだけ負担をかけないように、眼鏡やコンタクトレンズは度の合ったものを必ず使いましょう。冷暖房で乾燥している場合は、人口涙液をさして目を潤わせましょう。
④ ドライアイや緑内障の人は、過度なVDT作業で悪化する危険性があるので、十分注意が必要です。
⑤ オフィスでの理想スタイルとして十分な明るさで作業すること、画面と目の距離は40~70センチで視線が下向きになる角度で、画面の反射をさえぎるフィルターを使うのもいいでしょう。

右京医師会 米林 展夫

6月号 「熱中症に注意しましょう」

 熱中症について真夏の7~8月ぐらいは誰もが注意しますが、実は暑くなる前のこの時期にこそ危険なのです。そもそも熱中症とは、気温や運動など身体の内外の高温状態によって引き起こされる様々な異常のことを指します。高温環境下の身体は体温を一定に保つために色々な反応を示しますが、その調節機能に破綻が生じると熱中症になります。具体的には、発汗による水分と塩分の体内からの喪失・塩分バランスの異常、および体温上昇による生命維持機能の障害などです。症状から①熱失神、②熱疲労、③熱痙攣、④熱射病に分けられます。
【症状】①熱失神 皮膚血管の拡張によって血圧が低下し脳血流が減少して起こるもので、めまい・失神などが見られます。顔面蒼白・頻脈もしばしば伴います。
②熱疲労 脱水による症状で、脱力感・倦怠感・めまい・頭痛・吐き気などが見られます。
③熱痙攣 大量の発汗による水分・塩分の喪失から血液中の塩分濃度が低下した時に起こる、足・腕・腹部の筋肉の痙攣。
④熱射病 体温の上昇のため中枢神経機能に異常を来たした状態で、意識障害・異常行動・ショック状態などを起こし、生命維持機能の障害から死亡率が高い。
【治療】①熱失神・②熱疲労 涼しい場所で衣服をゆるめ足を高くして寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。吐き気や嘔吐などで飲水が不可能な場合は点滴を受ける必要があります。
③熱痙攣 点滴による生理的食塩水(0.9%NaCl)の補給で通常は回復します。塩分を含むスポーツドリンクの摂取でも良いですが回復に時間がかかります。
④熱射病 生命の危険のある緊急事態のため、身体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。現場で体温を下げることが重要で、全身を水で濡らして風を当てる方法や、首・腋の下・足の付け根など太い血管のある部分に氷を当てる方法が効果的です。
【予防】 何と言っても予防が一番重要です。予防の基本は、過度の体温上昇の抑制と脱水の予防の二項目です。
1) 過度の体温上昇の抑制 暑い時には軽装にし、吸湿性や通気性の良い素材の服装にしましょう。屋外で直射日光がある場合には帽子を着用しましょう。また、暑熱環境下での体温調節機能には暑さへの馴れ(暑熱馴化)が関係しています。暑熱馴化には数日間かかりますので、急に暑くなった時には注意が必要です。そして何よりも、暑い時には無理をしないことです。
2) 脱水の予防 暑い時にはこまめに水分を補給しましょう。汗からは水と同時に塩分も失われますので、発汗量の多い時の水分補給には0.1~0.2%程度の食塩水が適当です。
【終わりに】 地球温暖化の影響のためか、気温の上昇に伴い熱中症の発生件数が増加しております。また、運動時・労働場面だけでなく日常生活での発生も見られます。暑熱環境下では熱中症の起こる可能性を忘れないことが重要です。それから、睡眠不足を避ける・飲酒をほどほどにするなど自分の体調を整えることも必要です。

右京医師会 岩田 弘滋

5月号 「廃用症候群」

 人間の心身の機能は使うことで、その機能は強化されて、使わなければ衰えることは、筋肉、骨関節はもとより精神においても同様であります。大きな病気や怪我でその初期はある程度の安静が必要でありますが、その次に体を動かす段階で、病気や怪我で起こった障害に加えて、使わない為に生じた心身の機能低下の影響は全身の広い範囲に及ぶので、これを「廃用症候群」と呼んでおります。
例えば人間の骨関節というのは骨と骨とが、間に軟骨を挟んでスムーズに滑って動く構造を持っております。そして骨と骨とが離れないように関節周囲は弾力性のある「結合組織」で覆われております。また関節の周りは関節包や、硬い靱帯という結合組織で補強されています。しかしこの結合組織は関節運動により絶えず引き伸ばされることで弾力性を保っており、じっと寝たきりで長く関節を動かさず、引き伸ばされること無く、短くなった状態に長く置かれますと、関節包も靱帯も共に弾力性を失って硬くなり、最後に関節が動かせなくなるのです。特に関節を曲げたままでおりますと、その内側に当たる部分の関節包や靱帯は短くなった状態に置かれて一層弾力性が無くなり、関節は曲がったままになってしまいます。これが関節拘縮であり、四肢の廃用症候群の原因にもなります。長く寝たきりになっても、関節は絶えず全て動かすことが必要です。

右京医師会 小松 建次

4月号 「年いくと嗅覚も悪くなるの?」

 老人になると鼻も効かなくなるのか? 残念ながらイエスです。嗅覚は聴覚などと同様に加齢とともに低下します。70歳以上で明らかに低下し、60歳台はその移行期、80歳以上では75%の人が 低下しているという報告があります。臭いを感じる細胞が減り、臭いの神経線維も萎縮してきます。聴力低下は補聴器である程度カバーできますが、嗅覚低下はそうはいきません。 しかも嗅覚低下はすぐに気づかないという難点もあります。
風邪などで一時的に匂いがわからなくなっても若い人なら回復しますが老人ではそのまま嗅覚を失うこともあります。嗅覚障害の治療はステロイドの点鼻療法が一般的です。この治療法に明確なエビデンスがあるわけではないのですが、他にこれをうわまわる方法がないのも事実でしょう。全身的な副作用は出にくいのですが、過剰投与では副腎機能の低下などの報告もあり注意が必要です。
風邪引きの後は一度、強い臭いを発する物をかいで、ちゃんと匂うか確かめましょう。 分からなければ早期治療が原則です。

右京医師会 斉藤 憲治

3月号 「無理なダイエット 万病の元」

 ダイエットに成功しないと嘆く人が多い反面、ダイエットに成功し、痩身になったわが姿に満足する女性も多い。さぞや自尊心も高まることであろう。しかし、ここに落とし穴がある。
ダイエットの結果、月経がなくなることがある。月経がなくなったことをこれはおかしいと気づく女性もいれば、メンドウな月経がなくなってさばさばしたと、こういう感想を持つ人もいる。まことに人はさまざまである。
しかし、たいがいの女性はダイエットの結果、月経がなくなったことを異常だと考える。医療の専門家ではないので、無理なダイエットが原因だとわからず、医療機関への受診が遅れがちになる。
勇気をふるって産婦人科の扉をたたいた時には、月経が止まってから1年以上がすぎていたというような方がたくさんいる。
月経がなくて困ることは何だろうか?
妊娠しないこと。女性ホルモンが減少しているために老化が早くなること。意欲が衰えること。前向きに生きていこうという気持ちがうすくなること。
だいたいが、日本の女性はやせた体型の民族である。ダイエットが必要な人がさほど多くいるとは思えない。またやせ型を美形と受け止める人も多くないのだが。
なくなった月経を治療して元に戻すことは可能である。ただし、重症のときには薬剤なしに月経の来る体に戻ることができないこともある。薬剤をのむかぎり、月経は回復するし、また、妊娠も可能である。
ダイエットに用心を!

右京医師会 田中 啓一

2月号 「糖尿病とは」

 糖尿病はインスリンの働きが不足する病気です。すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足するために食べた食物の栄養が体の中でうまく利用できず血液中のブドウ糖(血糖)が高くなった状態をいいます。2回の検査で次の3つのいずれかに該当すれば糖尿病と診断されます。
1.随時血糖値200mg/dl以上、
2.空腹時血糖126mg/dl以上、
3.糖負荷テストの2時間後血糖値が200mg/dl以上。
但し、糖尿病の症状(のどの渇き、尿量増加、体重減少など)、網膜症やヘモグロビンA1c 6.5%以上の場合は1回の検査で診断されます。糖尿病は遺伝的なものに運動不足、肥満などが加わって発症し、持続する高血糖状態が主な特徴です。この高血糖状態が10~20年持続すると比較的細い血管に障害(網膜症、腎症、末梢神経障害)を起こします。また比較的太い血管の動脈硬化による脳梗塞、心筋梗塞なども引き起こします。これらの合併症の発症予防や進行を遅らせるために、食事療法、運動療法や薬物療法により適切な血糖コントロールを早期に行う事が重要です。

右京医師会 山田惠三

1月号 「冬の乾燥肌」

 寒い時期になりますと、膝から下がとても痒い。また手指には"あかぎれ"ができたり、かかとは大きな亀裂が入って歩くだけでも痛い。
こんな症状はありませんか?皮膚には元々潤いを保つ成分があります。毛穴にくっついている皮脂腺から分泌された皮脂が皮膚の表面に広がり、汗と混じり合って膜を作ります。また、角質層にはセラミドをはじめ、細胞と細胞の間を埋める角質細胞間脂質が互を繋ぎ止める"ニカワ"の様な役割を果たして、体内の水分の蒸散を防ぎ、かつ外から異物が入らないようにしています。皮膚への水分の供給源として、発汗・外気の湿気・入浴などがありますが冬にはこれらの供給源が少なくなるのと、皮脂の分泌が減少するなどもあり、特に乾燥傾向が強くなります。炎症を抑えるステロイド剤や水分の蒸散を防ぐ保湿剤、また角質層を柔らかくする外用剤などを適切に使って、この様な症状に対処しましょう。

右京医師会 米林 功二