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10月号 「「チック症?どう対応したら?」
目をぱちぱちしたり、咳払いをくりかえしたりするチック症は5~10人に1人のお子さんが経験すると言われています。その症状は大きく分けて特定の体の動きを繰り返す運動チックと咳払いや喉を鳴らすなどの音声チックに分けられます。また短く単純な動きを繰り返す単純チックと、比較的長い動きで意味があるように見える複雑チックにも分けられます。例えば肩をすくめる動きだけを繰り返す場合は単純運動チックとなります。
チック症の中でも単純チックのお子さんが多いのですが、単純チックのお子さんの症状は自然 に消失することが多く、1年以内に半分以上のお子さんは症状が見られなくなるといわれています。症状は緊張や不安が強い時、緊張がとけてほっとした時、楽しくて興奮したときなどに増加しやすく、適度に緊張して活動している時、集中して作業している時には減少する傾向があります。
自然によくなる事が多いチック症ですが、なるべく症状が出ないように対応することは必要で す。その第一歩として環境調整や周囲の人へ病気を理解してもらうことが大事になります。「小児チック症診療ガイドライン」でも不必要な緊張や不安を減らすためにお子さんのストレスを軽減するよう対応する事や、症状を止めるよう本人に注意したり叱責することは避けることが推奨さ れています。また学校の先生など周囲の人に病気について理解してもらいチック症のお子さんが安心して生活を送れるよう連携して対応する事も大切です。チック症状によって生活に支障がでてい たり、1年以上の長期になる慢性チックやチック症の特別なタイプであるトゥレット症のお子さんはさらに専門的な対応や治療が必要になることもあります。
「チック症かな?」と心配になった際には医療機関を受診して相談するようにしてください。
一般社団法人 右京医師会 長谷川 豪