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5月号 「食中毒予防の3原則 ―家庭から守る健康の基礎―」

 


食中毒は、私たちの生活の中で非常に身近な健康リスクの一つです。気温や湿度が上がる梅雨から夏にかけては、細菌による食中毒が急増し、冬場にはノロウイルスなどのウイルス性食中毒が流行します。発生事例の約1割から2割は一般家庭で起きており、見た目や臭いに変化がなくても、有害な菌は増殖しています。
食中毒を防ぐためには、厚生労働省が提唱する「食中毒予防の3原則」を徹底することが最も効果的です。

第一の原則「つけない」は、清潔の維持です。細菌やウイルスを食品に付着させないために、調理前、生の肉や魚を触った後、そして食事の前には必ず石鹸で手を洗いましょう。また、まな板や包丁などの調理器具は、肉用、魚用、野菜用と使い分けるか、使用するたびに熱湯や塩素系漂白剤で殺菌することが重要です。

第二の原則「増やさない」は、迅速な冷却と保存です。多くの細菌は高温多湿な環境で爆発的に増殖します。調理済みの食品を常温で放置せず、速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。冷蔵庫の過信も禁物です。詰め込みすぎると冷気が循環せず、庫内温度が上がってしまうため、冷蔵庫の使い方として「7割程度に抑える」のが目安です。

第三の原則「やっつける」は、中心部までの加熱です。ほとんどの細菌やウイルスは加熱に弱いため、食品の中心部が75度以上で1分間以上(ノロウイルスの場合は85度〜90度で90秒以上)加熱されることが推奨されます。特に肉料理は、中心まで火が通っているか色を確認する習慣をつけましょう。

最後に、自分や家族の体調が優れないときは、調理を控えることも立派な予防策です。下痢や発熱などの症状がある人が調理を行うと、そこから感染が広がるリスクが高まります。日々の暮らしの中でこれら3原則を意識することが、食中毒から身を守る唯一の手段なのです。


 


一般社団法人右京医師会 大塚 弘友

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