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8月号 長寿時代の健康管理

 

 日本人の平均寿命は戦後右肩上がりに推移して今や世界の最長寿国となりました。
2016年男性は80.98歳、女性87.14歳で香港に次ぎ世界第2位です。日本の平均寿命は1990年から2005年の15年間に劇的に伸びたと言われています。
 では元々日本人の平均寿命とはどれくらいのものだったのでしょうか?
少しさかのぼって明治~大正期は44歳!(たった100年前です!)
江戸時代は30歳代(産業革命期欧米諸国も大体同じです)
奈良~戦国時代は20歳代、縄文時代は15歳と言う事です・・・これらのデータは古代については人骨よりの推定年齢、近代以降は過去帳よりの推計です。
世界的にも大体同じ傾向で、たとえば“古希”という70歳を祝うことばは唐の李白の「人生 七十 古来稀なり」(西暦757年・・日本では奈良時代)からきています。
 古来長寿は王侯貴族もましてや庶民では願ってもなかなかかなえられなかったのです。
 赤ちゃんや幼児が栄養や環境条件で成人するのが難しかった上、成人後も結核など感染症に全く無力な人類の歴史が何千年も続いてきました。
抗生物質が一般に使われだしたのは第2次世界大戦後です。こうしてなんとか生き残った子孫が今の私たちです
 つまりこんなに長寿をみんなで経験する人類は私たちが初めてということになります。
例えば女性の生涯を考えますと、古来ずっと閉経は50歳前後です。考えてみれば人類の大半の女性は閉経を迎える前に亡くなっていたと言えます

女性は早く結婚しできるだけたくさん子供を産み育てることに忙殺されているうちに社会に出る機会もなく亡くなっていたと思われます。

 

日本の人口について調べると弥生時代は60万人、飛鳥~鎌倉時代は600万人、室町時代1000万人、戦国時代の終わりで1700万人、江戸時代は戦乱がなかったため2000万から3000万人に増加しました。明治維新では3300万人、その後150年で日本は異常な人口爆発を迎えピークは10年前の2008年1億2800万人に達しました。その後2009年より日本は初めて人口減少に転じ現在も人口は徐々に減少していますが問題は高齢者が増加し子供が極度に少ない人口構成です。

 

こうして長い歴史を俯瞰しますと現在がいかに特殊な時期であるかがお分かりになっていただけたと思います
世界的にも最高水準の医療、介護の充実で高齢者が増えましたが、一方で若い人々は子育ての環境があまりに厳しい為子供を多くもとうとしません。年々全国的に出生数が減少の一途をたどっています
このままでは有史以来の危機的状況を迎えるかもしれません。

 

さて私たちはなるべく存命中に健康で自立した生活を送れるように今から健康管理に気をつけましょう。現代人はオーバーカロリー、運動不足に陥りやすく生活習慣病に注意が必要です。
お近くの医療機関で高血圧、高脂血症、糖尿病の有無の確認、骨量測定(←特に女性は閉経後)、がん検診を定期的に受けられて必要な治療があればコントロールしていただきましょう。長年の人類の夢である長寿を手に入れた私たち世代はそれを大事に維持する努力が必要です。

 そして今こそ若い人々が安心して次世代を産み育てやすい環境を真剣に作っていかなければならないと考えます。

 

一般社団法人右京医師会 玉置 聡子

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