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5月号 「うつ病について」

 

憂うつ、気分が落ち込んでいるなどと表現される抑うつ気分。これが強い状態をうつ状態。
うつ状態がある程度重症である時、うつ病と呼びます。

DSM-5(アメリカの操作的診断基準)では
①抑うつ気分。
②興味や喜びの減退。
③食欲の異常。
④不眠または過眠。
⑤精神運動焦燥または制止。
⑥疲労感や無気力。
⑦無価値感、罪責感。
⑧思考力、集中力の減退。
⑨死についての反復的思考。  以上、9つの症状の出かたにより診断します。

 

うつ病を過去12ヵ月に経験した人の割合は、日本では1~2%、これまでの生涯で経験した人の割合は3~7%の頻度の高い疾患。一般に女性、若者に多いのですが、日本では中高年でも頻度が高くなっています。
  原因は、セロトニンやノルアドレナリンなど、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっているためと推測されており、セロトニンやノルアドレナリンに作用する薬が使われます。
  内因性うつ病(メランコリア)の場合は抗うつ薬が効きやすく、高い割合で完治しますが、再発予防は十分行う必要があります。
  抑うつ神経症と診断される場合、環境のストレスが大きい場合は環境調整可能か検討する必要があります。

 

 薬物療法
SSRI、SNRI、NaSSA、三環系抗うつ薬などの種類が有りそれぞれの特性によって使い分けます。
  認知行動療法
思考の癖を見つけ出して、より適応的な思考を身につけることで感情、身体反応(症状)、行動を連鎖的に変えていく療法。
  うつ病の人は自分に対する否定的な見方が有り、他者も否定的に思っているに違いないと考えるなど、機能的でない思考パターンを抱きがちです。
  認知行動療法では現実的な思考を促し、行動を変え、うつ病で引きこもりがちな状態から行動を活性化させる技法などを用います。

 

例)友がみな我よりえらく見ゆる日よ 花を買い来て妻と親しむ  石川 啄木

 

友がえらく見える ⇒ 落ち込む⇒ 何もしなければ落ち込んだまま。花を買うという小さな行動をすると ⇒ 妻が喜ぶ ⇒ 少し気持ちが和らぐ。
  思考を見てみると、友が自分より偉いと思うのも、もしかしたら考え方の癖かもしれない。なぜそう思うのか、そうでないことを裏付ける証拠を探す。⇒別の考えが出来ると少し気が楽になる。適応的な思考が身に付くと、うつ病の再発を防ぐことも出来ます。

 

一般社団法人右京医師会 田辺 有佐

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