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12月号 「胃の中にいるピロリ菌の話」

 1984年、オーストラリアのマーシャル医師はピロリ菌を自ら飲んで胃炎にかかり、胃炎がピロリ菌による感染症であることを証明しました。その後、ピロリ菌は胃炎、胃・十二指腸潰瘍の原因と認められ、現在では胃がんとの関連も考えられています。
ピロリ菌には欧米型とアジア型があります。欧米型は十二指腸潰瘍の原因となりますが、アジア型では、慢性萎縮性胃炎、胃潰瘍や胃がんの原因のひとつとなります。日本では沖縄の人が欧米型のピロリ菌に感染しています。一方、沖縄以外の日本や、中国(特に北支)・南米チリなどの人はアジア型のピロリ菌に感染しており、胃潰瘍や胃がんに罹る率が高いのです。
日本人は現在50歳以上の人で約60%にピロリ菌感染が認められますが、20歳以下では20%未満です。これは日本の上下水道が完備するまでの時期と一致しています。ピロリ菌は経口感染ですので、乳幼児に食物を口移しで与えるのは避けた方がよいでしょう。
ピロリ菌に感染されている場合には、個人の状態により除菌することをお勧めします。ただし日本では、除菌治療は健康保険上の制約がありますので、かかりつけ医師とよく相談してください。

右京医師会 大塚 弘友

11月号 「NASH(Non Alcoholic Steato Hepatitis :非アルコール性脂肪肝炎)について」

 検診などで“肝機能異常あり”と指摘され、受診した人の中には、「私はお酒も飲まないのに何故でしょう・・・?」と言う人が今でも時々おられます。たまたま発見された、非飲酒者の肝機能異常の中には、薬剤性肝障害(サプリメントを含む)や慢性の肝臓病が見つかることもありますが、多くの場合は、肝臓に脂肪が貯まる脂肪肝です。肝臓病といえば、昔は、酒飲みの病気(アルコール性肝障害)というイメージが一般的でしたが、20~30年前からはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続感染患者の存在が明らかとなり、慢性肝疾患の大部分はこれらの肝炎ウイルスが主な原因であると考えられてきました。アルコールを1日20g(ビールなら400ml)以上飲む飲酒者は別として、非飲酒者の脂肪肝については、肝臓専門医も、食事制限や運動などで肥満を解消しさえすれば、良好な経過をとるもの(単純性脂肪肝)と考えてきました。
ところが、10年ほど前からは、脂肪肝の中にも、食事や運動によって比較的簡単に良くなってしまう経過の良好な単純性脂肪肝とは別に、長期的には、肝硬変や肝癌にまで進展するタイプの脂肪肝が10%以上(100万人ほど)存在することが明らかになってきました。この病気を、タイトルに書いたように、NASH(ナッシュ)といいます。NASHの人の肝生検(肝臓の組織学的検査)をすると、非飲酒者なのに、まるで、たくさんアルコールを飲む人の肝臓の組織と類似した異常(肝細胞内の脂肪沈着、肝細胞の壊死や膨化、さらには線維化)が見られるのです。そこで、非飲酒者の脂肪肝・脂肪肝炎をひっくるめて、非アルコール性脂肪性疾患(NFLD:Non Alcohlic Fatty Liver Disease)と総称し、厳密には、肝生検による組織学的診断をして、経過の良い単純性脂肪肝から、放置すれば肝硬変や肝癌にまで進展する可能性のあるNASHまでのどこに位置づけられるかを調べることが大事であることがわかってきました。現実には、全ての脂肪肝の人に肝生検をする訳にはいきませんが、肝臓専門医であれば、ある程度の見分けがつきます。
一方、近年、食事の欧米化、摂取カロリーの増加などに伴い、内臓肥満に高血糖・高血圧・高脂血症などを合併した状態の患者さんが増え、メタボリック症候群と呼ばれて、動脈硬化症との関連で注目されていますが、このNASHは、“メタボリック症候群の肝臓における表現型”とも称されています。つまり、メタボリック症候群の特徴が肝臓に現れているわけですから、原因や治療方法もメタボリック症候群と共通したものが多いのです。 脂肪肝といわれたら、経過の良い単純性脂肪肝だけではなく、中には肝硬変に進展したり時には肝癌を発症することもあるNASHという病気の可能性もありますので、主治医と相談の上、専門医を受診することも必要と思います。

右京医師会 勝馬 芳徳

10月号 「耳垢について」

耳垢がたまり外耳道を栓のようにふさいだ状態を耳垢栓塞(じこうせんそく)と言います。このようになると聞こえにくくなり、また、プールなどで耳垢が水でふやけて耳の穴をふさいで難聴を起こしたり、外耳炎の原因になったりします。
耳垢は外耳道の入り口付近にたまるので、綿棒などを使って見える範囲のものを無理せずに取るようにして下さい。外耳道の奥の部分は骨部外耳道と言って、皮脂腺、耳垢腺はなく耳垢は溜まりません。耳の中をあまりいじると、耳垢を奥に押し込んだり、外耳道を傷つけたりします。耳掃除をしているところに他人がぶつかったり、歩きながら掃除している時にひじが壁などに当たって、鼓膜を破ったりする事故が多いので注意して下さい。不潔な耳掻き、マッチの棒、指の爪などで耳の中をかいて傷を作った場合は感染を起して発病しやすくなるので止めましょう。耳掃除は月1回位で良いと思います。
ちなみに、日本における耳垢型(遺伝形質の1つとして古くから研究されている)の頻度は湿型耳垢約20%、乾型耳垢約80%であり、乾型耳垢の場合は通常外耳道の皮膚の外への移動によりある程度耳垢は排出されます。
耳が詰まって聞こえにくい場合、痛み、痒みを感じる時は耳鼻咽喉科を受診して下さい。

右京医師会 神谷 勝久

9月号 「接骨院について」

 最近、皆様の近くで接骨院が増えていると思います。接骨院は柔道整復師という資格を持った方が業務として行っています。柔道整復師は医師ではありませんので医療行為は行えません。柔道整復師は医療類似行為として打撲、捻挫、骨折、脱臼の初期処置(その後医師の施術に対する同意が必要です)に対し施術を行うことが認められています。
1998年柔道整復師養成施設は14校でしたが2009年には98校と激増しそれに伴い柔道整復師は増加しています。
接骨院では主に打撲、捻挫が取り扱えますが、慢性の痛み(膝、腰、肩)や神経痛(椎間板ヘルニア)は接骨院で施術(治療)を行う疾患ではありません。慢性の痛みの中には、悪性腫瘍や、神経の圧迫による痛み、炎症疾患などいろいろな原因によって起こってくることがあり、正しく痛みの原因を診断しなければ治療できません。また、骨折、脱臼は慎重な徒手整復や固定さらに手術が必要になってくることもあります。整形外科を受診しきちんとした診断の後、治療を行うことが大切です。
2010年9月以降は接骨院での領収書の無料発行が義務付けられましたので領収書をもらうようにしましょう。

右京医師会 岩田 啓史

8月号 「とびひ 伝染性膿痂疹」

 とびひとは、正式には伝染性膿痂疹という病名で、ぶ厚い痂皮を伴う痂皮性膿痂疹というものもありますが、主に黄色ブドウ球菌という細菌の感染による水疱性膿痂疹が大多数を占めますので、今回は水疱性膿痂疹についてのお話をさせて頂きます。症状としては、まず赤い斑点から始まり、次いで水疱が生じ、これは容易に破れてびらんという状態になります(受診時には最もよく見られる状態です)。
夏には虫刺されのひっかき傷から始まることもよくありますが、その他にもすり傷や湿疹・あせものかき傷からも感染します。手の爪の下に菌が定着していたり、特に子供さんの場合は鼻をいじる癖があれば、鼻の部分にずっと菌が居続けて、治ってはまた再発を繰り返すといったパターンもよく見られます。治療としては、原因菌に対する抗菌作用のある飲み薬や塗り薬も使われますが、基本はシャワーによる皮膚の洗浄です。菌量を減らすためには、石鹸(普通のもので可)で洗い流すことが最も良いと思われます。とびひの子供さんにシャワーを浴びさせると痛がることもあり、ついついためらいがちになりますが、しっかりシャワーで洗い流すことを心がけます。手の爪はきれいに切っておき、患部には触れない、鼻をいじらないなど、普段からのケアも非常に重要です。とびひになるとプールにも入れませんので、これらの症状があれば早めに病院を受診され、ご相談下さい。

右京医師会 米林 功二

7月号 「健康診断で緑内障疑い(視神経乳頭陥凹拡大)と言われたら」

 眼の病気というと、お歳とともに眼の中の一部が濁って、かすみ目になる白内障という病気をご存知の方は多いと思います。さらに最近は、新聞広告などで、進行すれば視野が無くなる緑内障という病気をご存知の方も増えてきているのではないでしょうか。この緑内障、白内障と違って、最初は自覚症状というものがありません。ですから、「あれ、何か視野が狭い。」と感じた時には、手遅れということになります。ですから健康診断において眼底検査で緑内障の可能性を見つけることは大事なことなのです。
さて、では健康診断で緑内障疑いと言われると、「ああ、私は視野が無くなって失明してしまうんだ。」とすごく悲観的な気持ちになるべきでしょうか。いえいえ、そういうことはめったにありません。中には全く緑内障の心配がなく、当分受診の必要はありませんという方もいらっしゃいます。また半年から1年に一回くらいの経過観察で十分な方も結構いらっしゃいます。さらに、最近は新しい薬やレーザー治療が開発され、たとえ緑内障であっても早期に対処をすれば、一生の間、緑内障で苦労する方は、かなり減っていると思います。
40歳以上になると緑内障の有病率が高くなるので、40歳以上の方は健康診断で眼底チェックを受けることをお勧めします。

右京医師会 富井 聡

6月号 「高齢者の転倒骨折は寝たきりのはじまり」

 超高齢化社会に突入する日本では高齢者の転倒骨折が原因で日常生活行動の低下、さらには寝たきりになってしまうことが大きな問題となっています。現在90万人はいるとされる寝たきりの原因の第3番目が骨粗鬆症による骨折です(第1番目が脳卒中、第2番目が老衰)。
転倒により腰、股関節、手関節、肩関節を骨折します。腰の骨や股関節を骨折すると動けなくなるため、一人暮らしの方は長期の入院をせざるを得ません。骨折が治っても体が弱るため家に戻れず施設に入られる方も多いのが現状です。骨折は骨がもろくなる骨粗鬆症に起因しますが、骨折するまでは無症状である為に見過ごされている場合が大部分だと思われます。
高齢者が腰背痛などの自覚症状を訴えて行くのは整形外科が多いのですが、骨密度を測ってみると骨粗鬆症になっていることがわかります。骨粗鬆症の予防と治療の基本は食事、運動療法が重要なのは言うまでもありませんが、骨折回避のため薬物療法を選択することも重要です。
整形外科で適切な薬物治療、生活指導などを受けて、寝たきりになるのを予防しましょう。

右京医師会 小室 元

5月号 「加齢と認知症について」

 加齢は必然であり、生老病死と同義であります。生まれて、生活して老いて、病に倒れ、死に至る。自分の遺伝子を残した後は、速やかにその生を終えるのは、あらゆる生物に共通です。生き残れなかった種は、やがて淘汰されます。遺伝子がその役割(自分のコピーを残す)と、性ホルモンは枯渇し、あらゆる器官は急速に老化に向かいます。
加齢をどんな時に自覚するでしょうか? 視力、聴力の衰え、あるいは耳鳴りなど、五感の劣化をふと感じる瞬間。片足で立つとふらついてしまう。今まで出来ていたことが不安定になる、時間がかかるようになる。
加齢の徴候は、認知症の初期徴候と重なります。老化なのか、認知症の始まりなのかはとても難しいところです。長谷川式検査で30点満点中20点未満が認知症とされていますが、年齢による補正はありません。85才以上になると、25%の方でなんらかの認知症を認めます。加齢を感じる事柄を4つに分類して、その事象の逆を試みることが、認知症の進行を抑えてくれるかもしれません。

1. 五感の劣化
嗅覚、視聴覚、味覚の衰えに対して、その逆をするということは何でしょうか? 香りのある花や香りのある食事を楽しむこと。よく見て、よく聞いて、よく噛んで、よく喋ること。とりわけ、匂う、香ることは大事で、嗅覚情報が大脳辺縁系、海馬から扁桃核へと至り、情動、エモーション、生きてゆく気力が発生します。加齢嗅を避け、お洒落をして動くことが、結果として、五感を研ぎ澄ますことになります。

2. 筋肉、骨、関節障害
女性では、ホルモンの減少により、筋肉、骨、関節障害がより著明になります。筋肉、骨を使うことで、新陳代謝をよくすることが大事です。動作がスローになるのは、加齢のため避けることは出来ないけれども、廃用症候群にならないために、関節を使うこと。退職後、骨折をおそれて家の中に閉じこもると、認知症が急速に進みます。昼間は、太陽の光を浴び、体を使い、夜は部屋を暗くして、熟睡し、生活にメリハリをつけることです。

3. 動脈硬化、循環予備能の低下
男性では、脳、血管がやられ易くなります。毎日MRA(MRIで脳の血管が分かる検査)を眺めていますと、動脈硬化こそが加齢現象である、と実感されます。「ヒトは血管と共に老いる」のです。遺伝子は変えられませんが、動脈硬化や血管性認知症の進行は抑えられると思われます。食事や生活習慣、運動が大事です。また、気道感染や歯周病はアテローマ血栓と関係があるといわれています。口の中をいつも清潔に保つこと;食事の後は歯磨きやうがいをすることが動脈硬化の進行を止めてくれるのです。口の中のお洒落が、動脈硬化を防ぎ、血管性認知症を予防します。

4 関係性の喪失
加齢の最大の特徴は「関係性の喪失」です。齢をとると、近親の死、退職、別離など、関係性が一つひとつなくなってゆきます。中国では、長寿の祝いに、高い楼へ登ると言います。高楼から下を見下ろすと、自分と先祖、自分と子孫との関係性、社会的つながり(縁)が認識されます。例えば、Googleで自分の家を見る、日本を見ると、地球との相対的な位置関係が分かるように。空気も何もない月から地球を眺めて、Ordolin宇宙飛行士は、大きな達成感と絶望的な虚無の二つを同時に経験した、といいます。関係性に気づくと一期一会の大切さも自ずと分かります。その関係性が消えてゆく一方で、新しい関係性を創りだす努力が必要です。朝、起きて、「今日は何をしようか?」新しいチャレンジを試みる。

Was gibt es Neues ? (今日の新しい事は何か? )
このようにして、加齢の徴候とは逆のことにチャレンジすることが、認知症の予防に繋がるのでは、と思います。

右京医師会 森村 達夫

4月号 「下肢静脈瘤ってどんな病気?」

 足の血管がコブのように膨らみ、足がむくむ、よくつる、つかれやすい、 肌が乾燥しかゆい、皮膚の色が変色したなどの症状があれば下肢静脈瘤かもしれません。
下肢静脈瘤は女性に多く、立ち仕事の人、妊婦さんでよくみられ年齢と伴に増える傾向にあります。
足の静脈血流は、筋肉の運動により心臓に戻ります。また静脈には血流の逆流を防ぐための弁があり重力に負けて下へ逆流しないように止めています。しかし、この弁が壊れて正常に機能しなくなると血液がうっ滞し静脈瘤ができます。
下肢静脈瘤は悪性の病気ではありませんので見た目が気にならずに皮膚に症状( 潰瘍)がなければ治療する必要は特にない病気です。
しかし、徐々に症状が進行し皮膚が赤くはれ痛みがある・潰瘍ができた・出血する等の症状がある場合は治療を受けた方がよいでしょう。

 下肢静脈瘤の治療には保存的治療と手術治療があります。
保存的治療とは、日常生活の上で医療用弾力性ストッキングを着用するというものです。履くだけで手術のような痛みはないというメリットはありますが、下肢静脈瘤の進行を防ぐ効果は期待できますが治す効果は望め無いと言う欠点があります。また皮膚症状のある場合などは使わないほうが良いでしょう。

  皮膚症状のある方は手術を受けられる方が望ましいと思われます。手術には悪くなった血管を抜くストリッピング手術や血液の逆流を防ぐために血管をしばる高位結紮術、直接血管に薬剤(硬化剤)を入れて静脈を癒着させ静脈瘤をつぶす治療があります。最近、テレビなどで痛みもなく傷も目立たないと話題のレーザー治療(パルスヤグレーザー)もありますが現在ではまだ保険適応ではなく自費治療であるという点には、ご注意ください。
いずれにしろ、このような症状が気になる方は一度医療機関に相談されることをお勧めします。

右京医師会 斎藤 隆道

3月号 「赤ちゃんの発熱」

 赤ちゃんは生後6ヶ月頃までお母さんからもらった免疫によって感染症から 守られています。6ヶ月を過ぎた頃から熱を出すことがありますが、初めての 発熱は、多くの場合風邪か突発性発疹が原因です。熱は、からだに入ってきた ウイルスや細菌が増えるのを抑え、一方でからだの免疫力を高めますので、病 気を早く治すために必要なものです。

 発熱している赤ちゃんの様子を見るポイントは3つあります。
1つめは、食欲です。
母乳やミルクを飲んでいるか。ごはんを食べているか。
2つめは、活気です。
手足を動かしているか。からだを動かして遊んでいるか。
3つめは、意欲です。
興味をもって周囲のものを見ているか。

  熱が出ていても、ある程度飲んだり食べたりしていて、周囲に関心を持ち、 からだを動かして遊んでいれば、心配いりません。このようなときは診察を 受けた上で、3日間を限度に様子を見てもよいでしょう。 ただし、3ヶ月までの赤ちゃんが発熱した時は、すみやかに小児科を受診しましょう。

右京医師会 須藤 茂行

2月号 「子宮頚がん予防ワクチン接種始まる」

 子宮頚がんは、子宮の入り口付近にできるがんで、20~30才代で急増し、日本では年間約15,000人の女性が発症していると報告されています。この子宮頚がんを予防するワクチンが、昨年の12月22日より接種できるようになりま した。このワクチンは、海外ではすでに
100カ国以上で接種されており日本でよ うやく接種できるようになりました。

 では、子宮頚がんはどのようにして起こるのでしょうか。子宮頚がんは、発がん性HPV(ヒトパピローマウィルス)の感染によって起こる病気です。HPVは皮膚や粘膜に存在する、ごくありふれたウィルスで100種類以上あり、子宮頚 がんの原因となる発がん性HPVは15種類ほどです。それらの発がん性HPVは性交渉によって感染しますが、性交経験のある女性の80%が一生に一度は発がん性HPVに感染するといわれているほどありふれたウィルスで、言い換えれば誰でも起こりうる病気なのです。しかし発がん性HPVに感染しても、90%以上は体内から自然に排除されるため、がん化するのは排除されなかった一部のウィルスによって引き起こされるわけです。

 今回接種できるようになったワクチンの接種対象者は、性交渉のない10歳以上の女性となっています。性交渉の前に接種しておけば、性交渉によって入ってき た発がん性HPVの感染を防ぐことができるというわけです。ただこのワクチンは、発がん性HPVの16型および18型感染に起因する子宮頚がんの予防で、子宮頚がんを100%予防できるわけではありません。したがってワクチンを接種しても必ず定期的に子宮頚がん検診を受ける必要があります。しかし、16型、18型はその他の発がん性HPVに比べて、特に子宮頚がんになりやすく、日本人子宮頚がん患者さんの約60%にみつかっており、ワクチンを接種することでこの16型、18型の感染はほぼ100%防ぐことができます。また、すでに性交渉がある方がワクチンを接種した場合でも、感染と排除を繰り返すこのウィルスの特性から、年齢にもよりますが30~50%の予防効果があるといわれています。

 費用は、現在は自費になり、1回15,000円ぐらいで、3回接種(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)となっています。詳しくは、子宮頚がん情報サイトallwomen.jpを参照するか、お近くの産婦人科医にご相談してください。

右京医師会 佐々木 純一

1月号 「頭位性めまいについて」

 朝起きようと思ったら突然グルグル眼が回りだし少し気分も悪くなった。でも数分以内におさまった。これは典型的な耳のめまいの症状です。
正確には「良性発作性頭位めまい症」といいます。短時間の回転するめまいが唯一の症状であることがポイントです。これは耳の中の平衡を保つ役目をする内耳の中の耳石器というところにカルシウムなどの結晶でできた砂のようなものがあり、そのカケラがはずれて内耳の中に転がると眼が回るというものです。数日で自然になおることも多いので、経過をみてみましょう。特に安静は必要ありません。長引く場合は、転がった石を頭位変換させて元に戻すという療法もあります。この場合は三半規管のどこに石がころがったかを把握することが重要になります。

    こわい病気ではありません。でもしつこく繰り返す場合は病院へ。
耳鼻咽喉科が窓口となるでしょう。

右京医師会 斉藤憲治