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12月号 「先生、胃が痛いです。」ちょっと待って!それホントに胃の痛み?

 ある日、1人の患者さんが○○病院に受診されました。みぞおちを押さえて、「先生、胃が痛いです。」(みぞおちの痛みを心窩部痛といいます。)診察後、先生は胃カメラを行わず、腹部超音波検査と採血を行いました。なぜ?胃カメラをしなくていいの?検査の結果、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)との診断でした。結局、この患者さんはその日、急性虫垂炎の手術を受けられ、無事数日で退院されました。

  「あれ?なぜ、虫垂炎なのに胃が痛いの?虫垂は右下腹部にあるはずなのに?」本来ある部位の痛み(この場合、虫垂)を異なる部位の痛みと脳が勘違いをすることがあります。このような痛みを関連痛と言います。虫垂炎の場合、この関連痛が生じることが多く、やっかいなことに右下腹部痛がおこる前に胃のあたりが痛くなるのです。実は虫垂炎は初期の段階で診断が難しいことは医師の間ではよく知られています。診察当日は確定診断には至らず、胃薬で様子をみたところ、翌日になって症状がはっきりして虫垂炎の診断に至ることも一般的によくあることです。

  一口に胃のあたりが痛いと言っても実はいろんな病気があるのです。例えば、膵臓・胆嚢・胆管の炎症や癌などでも胃のあたりが痛むことがあります。また、心筋梗塞など心臓の痛みも胃が痛いと訴えられる患者さんもいらっしゃいます。だから、胃の痛みは、たかが胃の痛みと、市販の薬に頼り切ってしまうのは非常に危険と言えます。
しっかりと、かかりつけ医の診察をうけ、治療をうけた方がよいでしょう。

右京医師会 金光 宣旭

11月号 「睡眠とアルコール、睡眠薬」

昔から眠る前にアルコールを摂取する、いわゆる‘ナイトキャップ’として利用する方は少なくありません。アルコールには崔眠効果があり、寝つきは良くしてくれますが、摂取してから数時間たつと、睡眠を浅くします。そのため、明け方早くに目が覚める、早朝覚醒を来すようにあります。毎日飲んでいると、耐性(慣れ)が生じ、段々と摂取量が増えてきます。睡眠が浅くなり、中途覚醒を来す原因になります。
アルコールは、自覚している疲れを、‘軽減’した様な気分になり、一時的に眠気が無くなり、かえって睡眠障害を来します。
睡眠薬もアルコールとよく似た作用で、催眠効果があります。ベンゾジアゼピン型の睡眠導入剤は耐性を生じにくい、と言われていますが、長期の使用でやはり‘慣れ’は生じます。
アルコールと睡眠薬を併用すると、両方の作用を強め、呼吸の抑制や繊毛を来します。アルコールと睡眠導入剤、特に短く作用の強い薬で、記憶の障害を来すことがあります。一見、しっかりと対応しているように見えますが、脱抑制状態でさまざまな‘問題’行動が起こります。
ちなみに、睡眠薬だけでも同様の状態になります。短時間作用のものと、長時間のものの使用が重なり、また安定剤等との併用で、同様の記憶障害・脱抑制状態が見られます。
良い睡眠のためには、アルコールを眠る前に飲まない生活リズムを。

右京医師会 歳森 康博

10月号 「同時接種も活用してワクチンを受けましょう」

皆さんはVaccine Preventable Diseases(略してVPD)ということばを聞いたことがありますか?直訳するとワクチンで防げる病気のことですが、その背景には、ワクチンさえ打っておけばかからずに済む病気にかかってしまって、大切な子どものいのちをうしなったり、一生にかかわるような後遺症を遺さないで済むように、という思いがあります。この思いは多くのお父さん・お母さんの思いであり、また小児科医師の願いです。私たちは重大な結果を残すような疾患を防ぐワクチンはすべて接種してほしいと考えています。

 さて日本でもこの数年間にヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの公費での接種が可能となり、副作用に不安が持たれていたポリオワクチンが不活化ワクチン化され定期接種となるなどの進展があって、ようやく国際標準に近づいてきました。その一方で従来からの三種混合ワクチンや保健センターで実施されるBCGワクチンなども重要です。これらをすべて限られた期間内に接種することは簡単ではありません。それを解決するのが同時接種です。つまりいくつかのワクチンを同時に接種するという方法です。たとえばヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、三種混合ワクチン、不活化ポリオワクチンなど一つずつ接種するとなると、毎週通っても12週間かかることになり、その間にBCGが入ってくるし、また風邪で熱でも出そうものならさらにさらに伸びて行って、その間にVPDにかかってしまうという残念なストーリーも起こりうるわけです。それを4ついっぺんにうつと短い期間でうち終えることがことが可能です。日本小児科学会は「必要なワクチンを適切な時期に適切な回数接種することが重要である。そのためには、日本国内において、同時接種をより一般的な医療行為として行っていく必要がある。」と言い切っています。大切な子どもたちがVPDにかからなくて済むように、同時接種も活用してぜひ予防接種を受けましょう。なお具体的なスケジュールはかかりつけの医師と相談してください。

右京医師会 尾崎 望

9月号 「ウォーキングって体にいいの?」

健康ブームに乗りウォーキング人口が増えているようです。しかし、ウォーキングはすべての人にとって良いのでしょうか?確かにやり方によっては有酸素運動であり、脂肪や糖の代謝にはプラスと考えられています。また、外に出て歩くことにより免疫力のアップにもつながりますし、骨粗鬆症にも効果が期待できます。また気分転換にもよいことが考えられます。内科においては糖尿病や高血圧の患者さんに健康のためとウォーキングが勧められるようですが、よいことばかりではありません。歩くことは関節に負担をかけます。特に膝や股関節が痛い人には苦痛であるばかりではなく、どんどん関節を痛めてしまう原因とさえなるのです。そのような時には水中ウォーキングが効果的でしょう。水中では水の浮力により下肢への負担が軽減でき、さらに水の抵抗力があるために、より効果的に筋力強化が可能です。右京区においては、やまごえ温水プール、西京極の京都アクアリーナなど比較的安価である市営のプールも使用可能ですし、セントラルスポーツやスイトピアといったスポーツジムも利用可能です。是非、健康のため体にあったウォーキングをされてみてはいかがでしょうか?

右京医師会 河端 博也

8月号 「虫さされ」

暑くなるにつれ、皮膚科の外来には、「虫さされ」の方が多く来られるようになります。同じ、虫さされでも、蜂やムカデなどに刺された場合、大多数は原因が判明しているのですが、いわゆる「虫さされ」では、原因となる虫が確定できない場合が多いです。その理由は、大多数の方は、体のあちこちに不規則に生じるかゆくて赤いぶつぶつが症状であること(虫毎に特異的な症状が少ない)、虫に刺されている現場を確認できないことなどがあります。加えて、同じ虫に刺されても、パンパンに腫れ上がってかゆみが強い方から、かゆみも症状も軽い方までさまざまで、反応の個体差が大きいことも診断を困難にします。例えば、症状が他の家族にないのに、一人だけという場合もあります。
虫さされ反応は、蚊刺症で詳しく検討されています。蚊刺症は、吸血時に注入された蚊の唾液成分にたいするアレルギー反応です。生まれて初めて刺されたときにはまだアレルギーが成立していないため反応が生じないのですが、アレルギーが成立すると、刺されて1~2日後に真っ赤に腫れ上がる反応(遅延型反応)が起こります。この反応は乳幼児に多く、まぶたが開かないぐらいに腫れたり、耳が倍になるぐらい腫れたりします。ところが、何度も刺され続けるにつれて、刺されてから腫れるまでの時間が短くなるとともに、かゆみも速く治まるようになっていきます。多くの成人では、刺された直後にかゆみとじんましん様症状が生じますが1時間前後で減弱する反応(即時型反応)となり、さらに高齢者や農業従事者などでは刺されても何も生じなくなること(無反応)もあります。
蚊刺症に限らず、他の虫でも同様の傾向がみられるようで、ノミがいる家に住んでいる人とそうでない人、都会育ちの人と田舎育ちの人など、過去の「虫さされ」履歴により虫さされ反応は異なるようです。
治療の原則は、かゆみ対策と二次感染対策につきるのですが、遅延型反応の重症な方はステロイド外用剤や抗ヒスタミン剤内服を用いて早く治してしまうことをお勧めします。ブユなどに咬まれた場合、治療が遅れることにより何年もかゆい結節が残る痒疹になってしまうこともあるからです。軽症の方の場合は、局所を冷やしたり、止痒剤を外用したりしてかゆみを抑えるとともに、患部を清潔に保ち二次感染を起こさないようにすればよいと思います。

右京医師会 河合 敬一

7月号 「夏バテ予防法について」

 今年も夏がやって来ます。暑い夏になりそうですが夏バテ対策についてまとめてみました。

【環境】暑さを無理に我慢することは良くないですが、冷房もほどほどにしましょう。普段から汗をかかないと暑い場所に出た時に暑熱馴化ができておらず熱中症を起こしてしまいかねません。

【水分補給】発汗により身体は脱水傾向にありますので水分を充分に摂りましょう。冷たい飲み物がおいしいですが冷たい物は摂り過ぎると胃腸の働きを低下させますので、ほどほどにしましょう。

【食べ物】夏バテの解消に有効といわれているのがビタミンB1・B2とクエン酸です。消化・吸収した炭水化物をエネルギーに変えるのに必要です。
①ビタミンB1・B2を多く含む食材:豚肉、レバー、枝豆、納豆、豆腐、 玄米、ウナギ、イワシ、
なお、ビタミンB1・B2はアリシンと一緒に食べるとその吸収が良くなります。アリシンはネギ、ニンニク、ニラ、タマネギに多く含まれています。
②クエン酸を多く含む食材:梅干し、レモン、グレープフルーツ、柚子
③ビタミンC:夏バテに限らず体調の維持・回復に効果があります。柑橘類・キーウイ等の果物や野菜に多く含まれますが、調理時の加熱により壊れやすいです。
④食べ方:食欲が無い時でも一日3食をしっかりと食べましょう。少量しか食べられない時は栄養バランスに気をつけましょう。香辛料や香味料を使うと食欲増進に効果があるかもしれません。

【睡眠】睡眠不足が続くと体調が崩しやすいので充分な睡眠を取りましょう。暑い夜は寝苦しいですが、就寝前の入浴が有効なことがあります。

【終わりに】原子力発電所の再稼動により電力不足にはならないようですが、夏バテ対策により暑い夏を乗り切りましょう。

右京医師会 岩田 弘滋

6月号 「ビールのおいしい季節、上手にお酒をいただきましょう。」

 今年も暑い夏がやってきました。日々の生活の潤滑油ともなるアルコールですが、飲みすぎて健康を害するようではいけません。社会生活の多様化、アルコールの種類も増え、知らず知らずのうちにアルコール摂取量が増える危険もあります。飲みすぎたら一体どんな害があるのか、代表的な病気をあげてみます。

① アルコール性肝障害
日本酒に換算して1日3合以上飲む方は脂肪肝になるリスクがあります。短時間で多量飲むと、アルコール性肝炎をおこし重症化すれば死に至ることもあります。20~30年かけて肝硬変になるのも厄介です。また、肥満や糖尿病のある方は肝障害が加わることでさらに病気が悪化する懸念もあります。アルコール性肝障害から肝臓がんになる方も増えています。

② アルコール性膵炎
急性膵炎が増えています。激しい腹痛を生じ重症の場合は意識障害やショック、呼吸不全を呈し死に至ります。長期にわたり膵臓への障害が続くと反復する腹痛発作を生じる慢性膵炎をおこし糖尿病が発症することもあります。

③ がんとの関連性
口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、結腸がん、直腸がんなどの発生リスクが上がります。

④ アルコール依存症
最近は女性のアルコール依存症が増えています。

せっかくの楽しいお酒、ではうまく付き合うにはどのようにしたら良いのでしょうか?
空腹でお酒を飲むと胃の粘膜が傷害されアルコールの吸収が早くなり酔いやすくなります。また、適量以上のアルコールは肝臓でのアルコール代謝(解毒)がおっつかなくなり二日酔いの原因にもなります。お酒を飲む前にタンパク質や脂質の含んだ食事をすれば、粘膜傷害を避けアルコールの吸収スピードも抑えられます。そして適量を飲むことでほろ酔いとなり、お酒を楽しむことができます。適量は個人差、男女差がありますが、一日に飲める量は、ビールなら大瓶2本、清酒なら2合、ワインなら2/3本(480ml)、ウイスキー水割りならシングルで4杯、ダブルなら2杯(120ml)、焼酎お湯割りなら1.2合(220ml)までです。アルコールの分解能力は体重により変わるため、体重の軽い方や女性はこの量よりも少な目にしてください。

 適量を守ることで、心筋梗塞等の虚血性心疾患での死亡、脳梗塞での死亡のリスクが下がることもあり、「百薬の長」としてアルコールと上手に付き合うように心がけてください。

右京医師会 寺村 和久

5月号 「体の不調を医師に正しく伝えるために」病気のいつから? どこが? どのように?」

 医療施設を受診する際に、患者さんが自分の体の不調を正しく医師に伝える事はとても大切な事であることは言うまでもありません。 しかし実はこれは意外と難しいこととなっています。そこでどのようにしたらこれを上手く行うことが出来るのかについて以下にアドバイスさせて戴きます。

担当医に何をどのように伝えたら良いのか? 
基本としてご自分の体の不具合を、1)いつから? 2)どこが? 3)どのように? という風に、不具合情報の3要素に分けて伝えることが大切です。 これを正しく行うには、担当医にかかる前にご自分の不具合の様子を冷静に振り返って整理し、メモに書き出してみるのが有効な方法です。そしてそのメモを担当医に見せることは大変良いことです。

いつから?
不具合の最初の発生を振り返ってみて、それが1週間前からなのか、3日前からなのか、あるいはXX月XX日からと、思い出せるところを伝えましょう。 はっきりと思い出せない時は、「はっきりと思い出せませんが、今年の春頃からか---」と伝えれば良いです。

どこが?
頭が、お腹が、足が、といった不具合の存在場所を伝えましょう。さらに細かく、お腹の場合で言うと、下腹が、みぞおちが、お腹の右側が、お臍(オヘソ)の周りが、などといった特定の場所が分かればそれを述べます。お腹全体が不具合の場合もあるでしょう。その場合は”お腹全体が”と伝えたら良いのです。不具合の発生が、右か左か、あるいは両側かによって、考えられる病気の大枠の絞り込みが行われます。

どのように?
痛い、かゆい、腫れている、しびれている、動かない、赤くなっている、浮腫んでいる(ムクンデイル)、白くなっている、といった不具合の状態を出来るだけ詳しく述べましょう。例えば ”痛い”という不具合については、さらに チクチクと、ズキズキと、さし込むように、重たく、我慢出来ない程に、等といった場合があるでしょう。 また不具合の時間的現れ方、即ち”時々”発生した不調なのか、あるいは ”ずーと持続している”不調なのか、”突然”発生するのか、あるいは”徐々”に発生するのか、また一日のうちで”どの時間帯に”おこるのかなどについての情報を伝えることも重要です。

担当医の質問
担当医は上述の患者さんの訴えをうかがった上で、さらに必要となる情報について患者さんに色々と尋ねることでしょう。 その際、はっきりと分かる情報についてははっきりと答え、自信が持てない情報については「はっきりとはわかりませんが、---だと思います」と答えれば良いです。
以上、体の不調を医師に上手に伝える方法についてその要点を述べました。次にお医者さんにかかる時には是非この方法でやってみて下さい。患者さんにとっても医師にとっても、より満足出来る医療の実現につながることでしょう。

右京医師会 土橋 康成

4月号 「特定健康診査(特定健診)を受けましょう」

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という言葉をよく耳にしますが、これは内臓脂肪型肥満に加えて血糖、 血中脂質、血圧が異常値を示している場合のことです。この状態が続くと動脈硬化が進行し、命にかかわる心臓病や脳卒中を起こしやすくなることがわかっています。特定健診はこのメタボリックシンドロームやその予備軍の方をみつけて、 適切な保健指導を行ったり治療へ導いたりして、より重症な病気を予防することを目的として行われています。

ちなみにメタボリックシンドロームの診断基準は以下です。

必須項目:腹囲 男性 85cm 以上
女性 90cm 以上
選択項目:①中性脂肪 150mg/dl以上 かつ、また
HDLコレステロール 40mg/dl 以下
②収縮期血圧 130mmHg 以上 かつ、また
拡張期血圧 85mmHg 以上
③空腹時血糖 110mg/dl 以上
必須項目と選択項目2項目以上に該当するときに診断

 40歳以上の京都市国民健康保険加入者、京都府後期高齢者医療広域連合の被保険者、生活保護受給者に対する本年度の特定健診は5月28日(月)の西院小学校をかわきりに順次各小学校で行われます。また、各医院、診療所でもこの健診をうけられます。なお、被用者保険被扶養者、国民健康保険組合の被保険者の方は、各医院、診療所では特定健診をうけられますので、是非お受けください。

右京医師会 太田 正治

3月号 「花粉症について」

・花粉症とアレルギー性鼻炎って同じなの?
花粉症の一部がアレルギー性鼻炎であり、アレルギー性鼻炎の一部が花粉症と言えます。
つまり、花粉症は花粉によっておこるアレルギー性鼻炎や、結膜炎、咽頭炎や皮膚炎の総称と考えていいでしょう。
アレルギーはいろいろな物質が原因になります。花粉症と同じような症状がほこりやペットなどでも起こります。

・この子、花粉症なんでしょうか?
本来は検査(スクラッチテスト、血液検査等)で確定診断するのがいいのですが、臨床的に明らかに花粉症の方もおられます。ただ去年始まったとか、数年間症状がなかったという場合には、花粉症と決めつけるのはよくないかもしれません。気になったら、ぜひ検査をお勧めします。

・花粉症の薬は内科でもらっても同じでしょう?
ほぼ同じです。ただし副鼻腔炎を併発していないかなど、鼻の病気は花粉症(アレルギー性鼻炎)だけとは限らないので、そういう鑑別をしていただける病院・医院をお勧めします。

・注射を打ったら治るって聞きました。
アレルギー性鼻炎・花粉症の治療として注射を打つということは二通り考えられます。
1 減感作療法 
花粉症の根本治療になります。アレルゲン(たとえばスギエキス)を薄めて皮内に注射しますと、スギ花粉症の人なら大きく赤くはれ上がりかゆくなります。これを繰り返すことによって簡単に言うと身体を花粉に慣れさせて反応を起こしにくくしていく治療法です。減感作療法ではショックなどを起こす危険性もあり、しっかりと管理してくれる病院・医院での治療をお勧めします。さらに時間と手間がかかり、100%治ると言い切ることができません。ご興味のある方は一度耳鼻科でご相談なさってはいかがでしょうか?
2 ステロイド注射
症状を抑えるための注射です。内服で出すことがまれにあるステロイドですが、注射することにより高濃度で体内に入り、長時間持続するものもあります。注射した方の中には副作用が出る場合があり、また糖尿病、胃潰瘍その他の病気がある人には重篤な副作用の危険もありますので、充分注意して行うべき治療です。
私はこういった高リスクの治療をできるだけせずに安定させるのが最も良いと思っており、実際に行ってはいません。

右京医師会 大西 弘剛

2月号 「近視の子どもが増えています」

  最近、近視の子どもが増えています。特に、近視の低年齢化が目立ち、小学校に入学する前から近視になっている子どももいます。子どもはもともと軽い遠視で、それが成長とともに正視になり、さらに近くを見る時間が多くなると近視になっていきます。近視の親がいる家庭に近視の子どもが多いのは確かなようですが、それだけでは遺伝とはいえず、近視になりやすい習慣が家庭内に持ち込まれている可能性もあります。日本のような先進国の生活環境の下では、一部の遠視の子どもたち以外は、よほど注意をしないと子どもは皆近視になっていくといっても言いすぎではありません。近視は近くのものを見る機会の多い生活に適応して生じるものとも考えられますので、一概に悪いとは言えません。しかし、低年齢から近視になると、どんどん進行して強度の近視になり、大人になってから網膜剥離や緑内障など失明のおそれのある病気を起こしやすくなります。
今のところ近視を防ぐ確実な方法はありませんが、小さいときから子どもたちの眼の使い方に注意を払うべきです。子どもたちの姿勢に注意し、適切な距離でものを見る習慣をつけさせ、長時間のテレビ視聴やハンディタイプのゲーム機で無制限に遊ばせることは避けたほうがよいでしょう。また、屋外で遊ぶことや運動をすることは、遠くを見て近くを見る時間が減るというだけでなく、身体を動かすことや日差しを浴びることも近視を予防する可能性があると考えられています。そして、健診で少しでも視力が悪かったときはできるだけ早く精密検査を受けさせ、近視を早い段階で発見して眼の使い方に注意することで進行を防ぐことが大切です。

右京医師会 佐々本 研二

1月号 「インフルエンザについて」

Q.1: インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?
風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を併発する等、重症になることがあります。
Q.2: インフルエンザはいつ流行するのですか?
インフルエンザは流行性疾患であり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が広がります。日本では、季節性インフルエンザが例年12月~3月頃に流行します。
Q.3: 平成21年度に流行した新型インフルエンザは、どうなったのでしょうか?
平成21年度当時の新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行時には、人々が免疫を持っていないため大規模な季節外れの流行がおき、新型インフルエンザウイルスのみの流行が広がり、他の亜型のウイルスが流行しなかった、といった新型インフルエンザに特有の特徴がありました。
平成22年度においては、新型インフルエンザワクチン接種や、実際に新型インフルエンザに罹患したことによって多くの方が免疫を獲得し通常の季節性インフルエンザと同じ時期に流行が起こった他、新型インフルエンザに加え、A香港型やB型のインフルエンザウイルスもみられたなど、季節性インフルエンザと異なる大きな流行等の特別の事情は確認されませんでした。
このような状況から、平成23年3月31日より、新型インフルエンザについて、通常の季節性インフルエンザとして扱い、対応も通常のインフルエンザ対策に移行されています。また、4月1日以降その名称については、「インフルエンザ(H1N1(エイチイチエヌイチ))2009(ニセンキュウ)」とすることになりました。

右京医師会 玉井 仁