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12月号 「皮フ病に関するクイズです」

皮フ病に関するクイズです。○×でお答えください。(答えは下)

1. アトピー性皮膚炎は難病である。
2. アトピー性皮膚炎の原因の多くは食餌である。
3. 水虫の特効薬の開発はノーベル賞ものである。
4. 副腎皮膚ホルモン(ステロイド)は副作用がある。
5. 長期間使用している化粧品や内服薬でも過敏症を起こす。
6. ステロイドをつけて陽に焼けるとシミになる。
7. じんましんは肝臓の障害によることが多い。
8. 胃が悪いと口角炎になる。
9. やけどはあわてず衣服の上から三十分位水で冷やしてから来院する。
10. ヤケドや擦り傷は、キズドライなどで乾かすと良い。
11. 足の裏のホクロは、がんに留意する必要がある。
12. トビヒは一度かかると免疫ができ再発しない。
13. イボはイボコロリでよくとれる。

答え

1. × 一部の成人発症タイプを除けば多くは思春期を経るまでに軽快する病気で難病とは言えません。
2. × 食餌で増悪する子がまれにいますが、その場合でも食事制限のメリットのある子はわずかです。
3. × 水虫は治療により必ず治る病気で、有効な薬はたくさんあります。
4. ○ 自動車と同じで、使い方次第で有用なものともなるし、事故にもなります。
5. ○ アレルゲンに触れ続け、ある期間を経て過敏症を起こすのが普通です。
6. × 日本中で信じられている迷信です。つけるのを恐れて炎症を放置しておくと逆にシミになります。
7. × 肝機能障害等内臓病変と関連があることは、ほとんどまれです。
8. × 口角炎の原因は、カンジダ・単純ヘルペスの感染・ビタミン欠乏等です。
9. ○ ただし全身性のやけどは、すみやかに大きな病院へ行く必要があります。
10. × 油性の軟膏や被覆剤で、なるべく湿った状態を保たないときれいに治りません。
11. ○ 後天性のホクロで、直径が7ミリを越えたら部位によらず要注意です。
12. × トビヒの原因は黄色ブドウ球菌で、一度かかっても再発します。
13. × 感染するのでイボコロリなどでふやかすと周囲に拡大することがあります。

右京医師会 鈴木 新

11月号 「熱傷(やけど)について」

熱傷は熱によりたんぱく質が凝固する組織障害です。熱傷は深達度によりⅠ~Ⅲ度に分類されます。
Ⅰ度は発赤のみで深達度は表皮まで、Ⅱ度は水泡をつくるもので浅達性は真皮の浅層まで、深達性は真皮深層まで。Ⅲ度は、皮下組織までダメージのあるもので、局所所見は白色皮膚で神経損傷のため痛みがないのが特徴で、最も重症です。深達度が深いほど治りにくくなります。受傷直後にははっきりしないこともあります。特に小児や高齢者では受傷直後の深達度判定は、翌日又は数日間観察して改めて判定することもあります。

熱傷の重症度を決めるもうひとつの要素が熱傷の受傷面積です。受傷面積の算定方法は「9の法則」という算定をすることが多いです。簡単に説明すると、上肢片方で9%、下肢片方で9%×2、胸部は9%×2、腹部は9%×2、頭部は9%、外陰部1%となります。これにはⅠ度の部分は算定しません。
Ⅲ度熱傷面積+1/2×Ⅱ度熱傷面積で算定し、重症度判定に使います。比較的小範囲の場合には、手掌の面積が約1%に相当することを利用する手掌法もあります。体表面積の30%以上の熱傷は重症と考え、救命センター、熱傷センターへの搬送が必要です。特に小児の場合は、15%以上を重症と考えます。

次に熱傷の治療ですが、受傷後なるべく速やかに水道水などの流水で冷やし、20分以内にやめて下さい。特に幼児や高齢者は、体温低下に注意が必要です。救急隊のプロトコールでは、10%以上受傷面積の場合は、表面を覆うだけで冷却せず、速やかに専門施設に搬送する必要があります。小範囲でも手指の全周性の水泡、顔面、外陰部等が受傷部位の場合も医療機関を受診して下さい。

熱傷は深達度により治療方針が決まります。Ⅰ度は、ステロイド外用薬、Ⅱ度は創面の性状により治療は異なります。安易な判断はせず、医師の診断を受けましょう。その際、水泡を潰したり、アロエなどの民間療法は感染を助長するため行なわないで下さい。Ⅲ度は、自然治癒が難しく、植皮術が必要です。
深達性Ⅱ度、Ⅲ度は瘢痕が残りやすいですが、目立たなくする方法もありますので、形成外科を受診されるとよいでしょう。

治療後は炎症性の色素沈着をきたすことが多く、受傷後は紫外線対策も大切になります。

右京医師会 長澤 直子

10月号 「逆流性食道炎について」

 逆流性食道炎という病気をご存知でしょうか。最近、テレビコマーシャルや新聞広告などで見かけた方もいらっしゃるかもしれません。一言でいえば「胸やけ」のことで、食生活の欧米化などにともなって増加してきています。「胸やけ」といっても、それがどんな症状なのか良くわからない方もいらっしゃるかもしれません。胸の真ん中の後ろあたりに感じる焼けるような感じのことを、「胸やけ」といいます。胃酸が食道に逆流しておこります。
逆流性食道炎には「胸やけ」以外にも人によっていろいろな症状がおこります。「ゲップ」がひんぱんにおこったり、「すっぱい胃液がのどから口までこみ上げる」場合もあります。「ノドがつかえる」、「イガイガする」などのカゼのような症状がでたり、カゼでもないのに「しつこいセキが続く」ため肺の病気や、「胸をしめつけるような痛み」のため心臓の病気とまぎらわしい場合もあります。そのほかには「不眠症」や、ごくまれに「中耳炎」や「虫歯」の原因になっている場合もあります。
これらの症状がある方は、まず医師の診察をお受けください。問診から多くの場合は逆流性食道炎の疑いと診断できますが、注意しなければならないのは、同じような症状でも胃がんや食道がんの場合もあり、一度ぜひ内視鏡検査(胃カメラ)を受けることをお勧めします。

右京医師会 細田 友則

9月号 「足爪の悩み」

「足爪が切れない」「これって足爪の病気なの?」「足爪は誰が切るの?」足爪に悩まされているという方は多いようです。
爪切りが入らない、切ったはずみで割れてしまう、どこまで切っていいのかわからない、切っているうちに深爪してしまう、医療用のニッパーを買ったがうまく使いこなせない。足爪の手入れを負担であると感じている人は少なくないようです。また、足爪の異常があるとは思ってもいなかったのに、ネイルサロンに行ったら医療機関に行くようすすめられた、と不安そうに受診される方もいらっしゃいます。

足爪のトラブルは、歩行の姿勢などにも悪影響を及ぼします。
足爪にトラブルがあると、痛い部分に加重しないように、知らず知らずのうちに無理な歩き方をしていることがあります。無理のある姿勢で歩行していると、こんどは膝や腰が痛くなってきた、というように、問題が大きくなってしまうこともあるのです。また、痛いからといって靴のサイズを大き過ぎるものにしてしまうと、靴の中で足が泳いでしまうため、靴擦れができたり、躓(つまず)きやすくなったりします。靴が脱げないようにと無意識のうちに足趾を縮めたまま靴底をつかむような状態で歩いていたりするので、からだに力が入って短時間の歩行でも疲れてしまったり、足趾の変形やウオノメ・タコなども進行してしまいます。足爪のトラブルには、爪白癬(爪の水虫)や巻き爪など色々な疾患が原因となっている場合がありますが、各々、いくつかの治療方法がありますので、医師にご相談されるといいでしょう。

トラブルに陥らないセルフケアは?
まず、爪切りやニッパーで切るのが難しい場合は、ヤスリで削ることをお勧めします。ヤスリであれば、伸びた爪先を短くするだけではなく、厚くなった爪を、薄く、ひっかかりにくくさせることも可能です。陥入爪(爪の両端が皮膚にくい込んでしまう状態)のある方は、爪の両端を深く切り過ぎないようにする、つまり「上手に伸ばす」というのもコツのひとつです。

右京医師会 内田 敦子

8月号 「“しびれ“の話」

 “しびれ(感覚障害)“には色々な病気が含まれます。よく「しびれが切れた」といわれるように、長く同じ姿勢で座っていると、足への血行障害のために立ち上がったとき感覚がなくなっていたり、足が思うように動かないことを経験された方は多いと思います。このような一時的な血行障害によるしびれは、足の位置を変えれば数分ですぐにもとにもどります。しかしこのような日常よく経験する一時的な”しびれ“ではなく、色々な病気によって、例えば神経の病気によって”しびれ“の症状が起こる場合があり、注意が必要です。
“しびれ”は、いろいろな病気でおこります。
脳の病気・・・半身がしびれることが多い。
脳梗塞、脳出血、脳栓塞、脳腫瘍など
背骨の病気・・・両手や両足、片手や片足がしびれることが多い。
変形性頚椎症、腰椎症、脊椎管狭窄症など
手足の神経の病気・・・手先や足先がしびれることが多い。
手根管症候群、糖尿病性神経障害、ギラン・バレー症候群、末梢  神経炎など
血行障害・・・足先が冷たくしびれることが多い。
閉塞性動脈硬化症、血管炎症候群など
“しびれ”の原因がどのような病気から来ているのか、調べるためには病院に行きましょう。病院では、色々必要な検査で、“しびれ”の原因をさがします。詳しい相談には、神経内科や整形外科、脳神経外科を訪れるのがよいでしょう。「しびれ外来」の看板があればさらに良いと思います。これまで私の「しびれ外来」を受診された方をみると、首や腰の骨の異常からくる“しびれ”が最も多く、受診した1/3の方が整形外科の先生と相談する病気でした。次いで手首の病気で手がしびれる手根管症候群、糖尿病などの内科の病気からくる末梢神経障害が多く見られました。わずかなしびれがあって、調べてみると脊髄の血管腫(血管が腫れる腫瘍)という稀な病気が見つかり治療を受けた方もおられました。
“しびれ”で困っておられる方は一度、しびれ外来や神経内科や整形外科を受診されてはいかがでしょうか。

右京医師会 小西 哲郎

7月号 「日本脳炎ワクチンをうけましょう!」

 蒸し暑いですね。この梅雨があければいよいよ夏休み!夏といえばプール、海水浴以外にも、キャンプなどでお子さんが薄着で山にお出かけ機会があると思います。
そこで注意しないといけないのがブ~ンとくる蚊ですよね。刺されるだけでもかゆいのに、感染症の媒介体にもなります。中でも代表的なものは日本脳炎ウィルス、何となく日本にはいなくなった気がしますが、毎年数例ですが発症報告されています。
刺されてから1~2週間してから、高熱・頭痛・嘔吐症状を起こしたり、一部は意識障害やけいれんなど中枢神経症状を合併し、命を落とすことさえあります。
発症してしまったらどうしようもないので、とにかく予防(ワクチン)が大切です。
製造過程の一部に問題が指摘され中止となっていた旧ワクチンに代わり、新ワクチンが開発され、昨年8月より厚労省の推奨による日本脳炎ワクチン再開がなされました。
公費接種対象年齢は1期:3歳~7歳半、2期:9歳以上~13歳未満ですが、中止時期に接種できなかったお子さんのために、今年の5月より公費対象年齢が拡大され、
3歳以上~高校1年生(平成7年6月1日~平成19年4月1日生まれ)の方は、日本脳炎ワクチン1期、2期問わず接種無料になりました。
(これまで定期接種できなかった7歳6か月~9歳、13歳以上を含め)

予防は蚊にさされないか、ワクチンを接種するしかありません。対象年齢で計4回接種(1期初回2回・1期追加・2期)が終わっていない方は、これを機会に是非、近隣の小児科や内科にご相談下さい!!

右京医師会 中原 宏

6月号 「高血圧「都市伝説」の謎」

 今日もある高血圧患者さんに「そろそろ薬を飲んだほうが良いかもしれませんね」と説明すると、「一生飲まなあかんので、飲みたくない」と、返答されました。この会話は、日常的に行われています。実際はどうでしょうか。血圧を低く保つことは大切ですが、薬はその方法のひとつにすぎません。食餌療法や運動療法で下がることや、精神的ストレス、肉体的ストレス(過労・睡眠不足等)でも血圧は上がるので、取り除けば当然下がることになります。なぜ、このような誤解(都市伝説)が生まれるのでしょうか。私なりに考えてみました。一つは、血圧は血管内の血液の量の増加と血管が硬くなる(動脈硬化)ことで上昇します。年齢が上がれば上がるほど血管が硬くなるので、結果として一生近く薬を飲むことになってしまうことがよくあります。そういう場合を周辺で経験されて、やっぱり一生飲むものと考えられるケースです。実際は食事や運動の日常生活の改善や、ストレスの除去によって薬を中止できることも多々あります。もう一つは最近の薬はよく効くので、飲めば多くの人で血圧が下がります。この時に、自己判断で中止されてしまわないように、勝手に止めないでくださいと説明しますが、それが一生飲むという意味に理解されてしまうケースです。薬を飲むことではなくて、血圧が低いことに意味があるので、下がりすぎれば、当然減量や中止になります。ただ、心臓や腎臓などの臓器を守るために薬を使う場合もあるので、下がっても続ける必要のある患者さんもおられます。

 また、薬を勧めた時によく言われる別の返答に、「何にもしんどくないのに、なんで?」があります。高血圧の症状とは何でしょうか。テレビの健康番組や新聞・雑誌の健康に関する記事の中で、高血圧の症状の話でよく出てくるのは、頭痛・頭重感・めまい・耳鳴り等がありますが、必ず一緒に「症状がないことが多い」と説明されているはずです。すなわち、最も多い症状は無症状です。どうしても、何かある方が記憶に残るので、このような誤解(都市伝説)を生むのではないかと思っています。高血圧の最初の症状が、心不全や心筋梗塞、脳梗塞のことはよくあります。高血圧は別名「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれています。
しかし、このような都市伝説が広まる根本的な原因は、高血圧治療の本当の意味が充分理解されていないからだと思っています。医療の目的は色々あります。一つは、病気を治すことです。例えば、手術によってガンを完全に取り除くことや、抗生物質で肺炎を治療することがこれにあたります。二次性高血圧(ホルモン異常や薬によって起こる高血圧)で、完全に治ることはありますが、多くの高血圧(本態性高血圧)で薬を飲んでも高血圧は完全には治りません。薬を飲んでいる間は、下がりますが、日常生活の改善等がなければ、止めれば元の血圧です。薬を何年飲んでも血圧が上昇するメカニズムを修復してくれるわけではありません。二つ目の目的は、症状をましにする治療です。いわゆる対症療法です。カゼ薬や熱さまし、痛み止めがこれにあたります。血圧の治療は対症療法ではありません。頭痛やめまいを無くすためにするのではありません。ではなぜ高血圧の治療が必要かと言うと、医療の三つ目の目的です。治療することによって、より重篤な病気を予防することです。高血圧や高コレステロール血症の治療がこれにあたります。高血圧が続くと、心臓や血管が障害されて、心臓や血管の病気(心筋梗塞・脳梗塞等)、腎疾患が起こります。血圧を下げることで、長生きし、快適な生活を送れるようにすることが目的です。治療を受けているその時は特に良い影響を感じることは無いかもしれません。しかし、血圧を低く保つことは、将来の健康に対する先行投資や先物取引です。しかも究極のローリスクハイリターンの最も推奨できる優良銘柄です。損はさせません。

右京医師会 高島 啓文

5月号 「歩行時に足腰がしびれ痛む病気」

 1)腰部脊柱管狭窄症
歩いた時に足腰がしびれ痛む病気の一つに腰部脊柱管狭窄症があります。これは、簡単にいえば加齢により脊柱管が狭くなり中を通っている神経が圧迫されて起こる病気です。

 2)症状
主な症状は、重だるくうずくような腰の痛みや、しばらく歩くと足腰がしびれ痛み歩けなくなるが少し前かがみの姿勢で休むとまた歩けるようになる間欠性跛行です。神経が強く圧迫されると、膀胱や直腸などを調整する神経が障害されることもあります。

 3)治療
まずは、牽引や温熱療法等の理学療法、非ステロイド性消炎鎮痛剤やプロスタグランジンE1製剤の内服、トリガーポイント注射、神経ブロック等の保存的治療を行います。しかし、保存的治療で良くならず、日常生活、社会活動に支障がある患者さんに対しては、手術的治療を検討します。特に足の麻痺や膀胱直腸障害がある時には、なるべく早く手術によって神経を除圧する必要があります。

 4)脊椎除圧手術
手術では、神経の圧迫を取り除くために、脊椎骨を一部切除しなければなりません。しかし、あまり大きく切除すると脊椎が不安定になって体を支えきれなくなってしまいます。そのため、手術用顕微鏡を用いて最小限の骨切除で十分な神経の除圧を完全、確実に行います。 足腰がしびれ痛んで長く歩けなくなった時には、是非早めに整形外科の専門医を受診してください。

右京医師会 岩下 靖史

4月号 「女性と貧血」

婦人科外来では貧血の患者さんにお目にかからない日はないぐらい貧血の女性の数は多いです。貧血の発症率は成人女性の10%以上、40歳代女性の4人に1人という報告もあります。
しかし患者さんが「目の前が真っ白になって貧血をおこしました。」とか「生理痛がひどく貧血をおこしました。」とおっしゃる場合の症状は起立性低血圧の血液再配分に伴う一過性の症状でいわゆる脳貧血といわれるもので、実際の貧血の有無は血液検査で判明します。 医学的貧血の定義は“単位容積の血液中に含まれるヘモグロビン(Hb)量の減少”・・・つまり赤血球の比重が軽くなってしまっている状態です。
症状は疲労感、めまい、頭痛、息切れ、動悸などですが、曖昧なので見逃されることも多く、検査してみると予想以上に重症の貧血になっておられる方もお見かけします。
貧血は成因により何種類かタイプがありますが、日常的に遭遇するのは圧倒的に鉄欠乏性貧血です。鉄は体の中で赤血球生成の材料でふつうは1dl中50~160gの貯蔵が必要です。
なぜこの貧血が女性に多いかと考えますと、普通の食事で摂取する鉄分で補えないくらい多めの生理または不正出血があるか、または食事量が極端に少ないか食事内容が偏っていることがと推測されます。
女性の貧血の方はまず婦人科で超音波検査を含めた子宮筋腫の有無のチェックが必要になりますし、場合によっては子宮内膜症、卵巣出血、子宮がんなどの検査も行うときがあります。
思春期は一般に鉄需要が増大しますが、はやりの無理なダイエットで鉄が十分摂取できていない女の子もお見かけします。すらりと細くなりたい気持ちはよくわかりますが健康をそこなわないよう注意しましょう。
一人暮らしで外食の多い生活パターンの方も時々血液検査を受けられて健康チェックをされることをお勧めいたします。
鉄欠乏性貧血の治療の基本は鉄剤投与ですが、内服剤で胃腸障害がおきやすい人は鉄の静脈注射に通っていただくこともあります。
検査でヘモグロビンと貯蔵鉄量が十分になるまではお薬で回復を待ち、その後は日常生活で肉、卵、野菜では小松菜、ほうれん草、海草ではわかめ、ひじきなどの鉄分豊富な食事をとるよう心がけていただきます。
生理の量が多すぎる方や不正出血がある方はぜひ一度婦人科で診察を受けてください。また閉経後の年齢の女性貧血では男性と同様消化管出血の有無の検査も大事になってきます。
貧血には鉄が不足しているタイプのほか、再生不良性貧血、溶血性貧血他原因が異なるものもあります。この場合鉄剤治療は無効ですので血液内科の先生にご相談いただくことになります。
自己診断に頼らず、時々血液検査を受けるようにしましょう。

右京医師会 玉置 聡子

3月号 「高齢者を熱中症から守るために」

昨年の、猛暑は記憶にまだ新しく高齢者の『熱中症』でと、テレビ,新聞等で連日報道され驚くほどの人数の高齢者が入院となり、最悪、死亡との報道も耳にしました。私たちの周りにも脱水症状を起こし、在宅での対応は難しく入院された方が数名いました。
家の中で、ましてや夜間に『熱中症』などになるなんてと驚きもあると思いますが、高齢者の多くは夜間に発症されています。
『熱中症』は「熱疲労」「熱けいれん」「熱失神」「熱射病(日射病)」の四つの症状を総称して『熱中症』と呼んでいます。
ここでは、高齢者の方がなりやすい「熱疲労」について、お話したいと思います。

「熱疲労」:水分不足による脱水症状と血圧の低下の急激な進行によって、頭痛やめまい、吐き気や脱力感などを生じる症状です。
高齢者は水分の摂取量が少なく(意識的だったり、無意識の場合もあります)重篤化しやすく、危険な状態になりやすいといわれています。

※こんな条件で熱中症になります:
・湿度が高く汗をかいても蒸発せず、体内に熱がこもってしまい体内の熱をうまく放出できない場合。
・汗腺の機能が低下して汗をかきにくく、体温を調節する自律神経の働きも低下するなど、身体機能の低下などが起きている場合。
・外見上さほど汗をかいていなくても脱水症状が進んでいる場合。

※熱中症にならない為に:
・寝不足や過労、かぜなどで体力が落ちている場合に、日中暑い日には外出しない。
・発汗がしやすいように風通しの良い、吸湿性のある衣服を着て、室温、湿度など環境に注意をする。
・こまめな水分、塩分補給、時には糖分の補給も必要です。のどがカラカラに渇いてからでは、すでに脱水症状を起こしていることが多く、ほどほどの冷たさの水を数回に分けて飲むようにしましょう。特に暑い夜には、寝る前にコップ一杯程度の水を飲むようにしましょう。汗をかくことで水分だけでなく塩分も同時に失われているので、経口補水液やスポーツドリンクなどをこまめに飲む事が必要です。

※もし熱中症になってしまったら:
・室内の温度を調節し涼しくする、衣類を緩め風通しを良くする。
・冷たいタオルなどで首周囲、脇の下、ソケイ部などを冷やしたり、うちわなどであおぎ体を冷ますように努める。
・意識障害を起こして自分で水などが飲めない場合は一刻も早く医療機関へ搬送する。熱中症は、室温などの環境を整え、水分をこまめに取る事が最大の予防です。脱水は静かに進行します、早め、早めの対処が重要です。

右京医師会訪問看護 木村 春香

2月号 「今年の花粉シーズンに向けて 」

 昨秋から、「23年の花粉飛散は22年の10倍!」といった情報がマスコミから盛んに発信されています。猛暑の夏というイメージによって主に平均気温のみによってなされた予想が多いようですが、その他の要素が無視されているように思われます。そもそも、昨シーズンはここ数年では最も飛散量が少なかったので、これと比べて10倍と謳うことにも問題があるように思います。
最新の情報では予想飛散量は若干下方修正されてきています。そんなわけで、いたずらに数字に踊らされることの無いようにしたいものですが、それでも平年以上の飛散量はありそうです。昨シーズンが少量飛散で症状が軽かったため油断しないようにとの警鐘ととらえてください。誤解されている方がいらっしゃいますが、予防薬という種類の薬剤はありません。
治療に用いる抗アレルギー薬を早めに服用していただきます(初期治療といいます)。ここで大切なことは花粉の飛散量には日によって多寡があるということです。シーズン中は服用を持続することが大切です。また、アレルギー疾患治療の基本は抗原曝露を避けるということです。服薬しているからと油断せずに自分でできる対策をとるようにしてください。

右京医師会 寺薗富朗

1月号 「咳エチケットって知っていますか?」

1) 咳やくしゃみがでたらマスクの着用しましょう。他の人にうつさないため、マスクの着用をおすすめします。
マスクを持っていない時はティッシュを口や鼻にあて、他の人に顔を向けないようにしましょう。

2) 鼻水や痰(たん)をかんだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。 ちょっとした心遣いをお願いします。
毎年冬から春にかけてはインフルエンザシーズンです。 手洗いうがいも忘れないようにしましょう。

右京医師会 井上 勝裕