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3月号 「いつもよく風邪をひく・よく咳が出る
そんなときはアレルギーの可能性を考えましょう 」
「いつも風邪ばかりひいているんです。なんだか調子が悪くて。」「そうですか。いつも鼻水が出るんですか?」「そうなんです。鼻水が出たかと思うとすぐに調子が悪くなって喉が痛くなって・・・。」外来での患者さんとの会話です。この患者さんの場合、採血の結果、ダニ・ダストアレルギーが判明しました。
風邪だとおもっていたが実は、アレルギー性鼻炎・咳喘息をもっていて、その結果、ばい菌にも弱くなり副鼻腔炎を起こしてしまう、扁桃腺炎を起こしてしまう、ということはよくあります。つまり、見た目は風邪だけれど、裏にはアレルギーが潜んでいるのです。
ダニ・ダストアレルギーを例にあげますと、布団・毛布をこまめに洗濯できるものに変える、長年万年床なら一回買い換えるなど、生活習慣に即した方法も効果がありますし、現在は、ダニ舌下療法といって、ダニの成分を舌の下に2分間保持して、ダニに対してのからだのアレルギー反応を起こしにくくするといった治療法もあります。
アレルギーの患者さんにとって大事なことは、「扁桃腺炎や副鼻腔炎になってひどい風邪を繰り返さないように、予防薬やアレルゲンの除去の努力、舌下療法などによって、アレルギーをひどくしないこと」なのです。
「風邪ばっかり繰り返しているなあ」と思っている方は、ぜひ、アレルギーの検査をしてみましょう。
一般社団法人右京医師会 紀 優子
2月号 「肺炎の予防注射を受けましょう」
京都市では平成26年度から平成30年度まで高齢者に成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種が行われております。とは言え経過措置で、対象者は今まで同ワクチンを接種したことがない方で、年齢がその年度内に65・70・75・80・85・90・95・100才になる京都市民と、60~64才になる京都市民で心臓・腎臓もしくは呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウィルスにより免疫の機能に障害を生じている方のみです。
抗生剤の進歩により肺炎は容易に治療できる過去の疾患と考えていませんか。高齢者の肺炎は治りにくく、一旦治っても肺炎を繰り返したり、身体が弱って寝たきり状態になることがしばしばで、認知症の発症リスクも上がります。また高齢になると飲み込む力(嚥下機能)と誤嚥したものを喀出する力が弱くなり誤嚥性肺炎を起こし易くなります。高齢者に多い誤嚥性肺炎の原因菌は口腔内常在菌である肺炎球菌であることが多いです。この肺炎球菌による肺炎の予防には肺炎球菌ワクチンが有効です。定期接種の対象者には自治体からの案内が郵送されておりますが、当該年度の3月末までですので、これを逃すと4年後の4月1日まで自治体からの補助を受けられません。その上、現在の方法は平成31年3月31日までの経過措置ですので、それ以降にどうなるのかはわかりません。高齢者、中でも成人用肺炎球菌ワクチン定期接種の対象者の方々は、肺炎なんか関係ないよ、と思わずに予防注射を受けられることをお勧めします。料金は4000円ですが、自己負担区分証明書の提出により市・府民税非課税者は2000円、生活保護受給者・中国残留邦人等支援給付受給者は無料となります。定期接種でない場合は全額自己負担で8000円程かかります。なお、今回のワクチンは23価ワクチンで一生に一回の接種ですが、接種後5年ほどでその効果が落ちることから自己負担にはなりますが同ワクチンの再接種とプレベナーという名の13価ワクチンの追加接種が望ましいです。
一般社団法人右京医師会 岩田 弘滋
1月号 「補聴器を正しく使いましょう」
我が国は欧米に比べて補聴器を使用する方の割合がかなり低いとのことです。難聴は恥ずかしいので知られたくないという文化によるものかと思われます。しかしながらそれによって会話を聞き間違えることが多くなり、人との接触が億劫(おっくう)になるなどの損失の方がはるかに大きいのではないでしょうか。コミュニケーションの減少から加齢による難聴で認知症発症のリスクが増大し、適切に補聴器を使用することでリスクを軽減できるとのデータもあります。最近は補聴器性能の向上とともに小型化も進み、装用していてもあまり目立たなくなっています。流行りの音楽プレーヤーのように颯爽(さっそう)と使用している方もお見受けします。とはいえ補聴器の普及を妨げてきた責任の一端は、その使用を適切に推奨・指導してこなかった私たち耳鼻咽喉科医にもあります。
そんな反省を踏まえ日本耳鼻咽喉科学会では「補聴器相談医」制度を運用しており、制度のあらましや相談医の名簿については学会ホームページ(http://www.jibika.or.jp/citizens/)で確認できます。難聴の程度や補聴器使用の必要性などについては一人一人異なります。したがっていきなり通販での購入などは論外です。ご家族に難聴の方がおられて補聴器のプレゼントをお考えの方もまずはご本人同伴で耳鼻咽喉科への受診をお勧めいたします。認定された補聴器専門店と連携して適切な補聴器の選択をお手伝いいたします。なお、補聴器は医療保険の適応外ですが、使用が不可欠な高度難聴については公的補助の制度もございますので併せてご相談ください。
一般社団法人 右京医師会 寺薗 富朗