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12月号 「子宮からのメッセージが聞こえますか?」

 

 <子宮の話>
一人にひとつだけの神秘の袋
女の人だけ持っている
洋ナシのような形で
キューピーみたいなピンク色

命を育む魔法の袋

 

それが子宮です。

 

 女性だけが持つ神秘の臓器、子宮はだいたいニワトリの卵ぐらいの大きさです。
ところが不思議、妊娠すると柔らかくなってぐんぐん伸びて体積で言えば約2000倍になります。
なんと1リットルのペットボトルが4本分です!
出産後は、約1カ月で元の大きさのニワトリの卵サイズに戻ります。
人間の臓器でこんなに伸び縮みするものは他にありません。

 

普段は、骨盤というしっかりした器にガードされている子宮。
自分では見ること触れることもできません。
しかし、子宮にトラブルが発生するとメッセージを送ってきます。

 

そのメッセージは、月経(生理)の異常や痛みを合図としてあなたに送ってきます。

 

<子宮の病気>

①子宮筋腫とは?

 子宮の壁である筋肉にできる“こぶ”のような固まりで、30歳以上の女性の5人に1人が持っているぐらい、よく見られる代表的な子宮の病気です。子宮がんとは違い良性です。
命に係わる事はめったにないのですが、筋腫ができると生理の時の出血量が多くなったり、生理痛がひどくなったりします。筋腫が大きくなるとお腹が膨らんでくることもあります。大人の頭ほどに膨らむ人もいます。しかし、筋腫の出来る場所によっては全く自覚症状のない人もいます。子宮がん検診を受けた際に見つかるケースも多いです。
子宮筋腫と診断された時は、筋腫の大きさ・数・場所・症状に応じて、薬物療法(内服、点鼻薬、注射など選択)や、手術療法(筋腫だけを切除、子宮全部を切除など選択)を行います。

 

②子宮内膜症とは?

 激しい生理痛を引き起こす病気です。生理痛がひどい体質と思っていたら、実は子宮内膜症だったというケースも多いです。子宮内膜症は、近年、20代から30代の若い女性の間に増えてきている病気です。晩婚化や少子化など生活スタイルの変化が一因と考えられています。その為、今の女性は昔に比べて一生の間に経験する生理の回数がぐんと増えていることに関係しています。卵巣に膿腫が出来たり、子宮と癒着したりで、不妊症になる人もいます。逆に不妊症の検査で見つかる事もあります。
子宮内膜症と診断された場合は、年齢や妊娠の希望の有無や症状に応じて、薬物療法(治療用ピル、鎮痛剤など)や手術療法を選択します。

 

③子宮がんとは?

  子宮の入り口に出来る子宮頸がんと内部に出来る子宮体がんがあります。
今回は子宮頸がんについて説明します。
子宮頸がんは女性特有のがんとしては、乳がんに次いで罹患率が高く、特に20~30代のがんでは第1位です。わが国では、毎年約10000人の女性が新たに子宮頸がんにかかり、約3500人が亡くなっています。子宮頸がんの原因はヒトパピローウィルス(HPV)というウィルスの感染で起こります。特殊なものではなく非常にありふれたウィルスで、性交渉により男性から感染します。性交渉の経験がある女性の80%以上が、50歳までに感染を経験すると言われています。感染したからと言って症状は何もありません。免疫力によって多くの場合このウィルスは自然に体から除去されます。しかし、この免疫がうまく働かずウィルスが残り10年以上の長い間感染が続いた場合、感染した細胞がさらに5年から10年掛けてがん細胞へと進化していきます。ただし初期には症状がほとんど現れないところが、がんの恐ろしいところです。

 典型的な症状は、性交渉の時に出血したり、生理以外に出血があったりします。出血でなく茶色のおりものが増えることもあります。早期発見が重要で、診断が早く初期なら子宮摘出しないで部分切除だけで治ります。ですから、何も症状がなくても2年に1回は子宮がん検診を受ける事が子宮がんから命を守る事に繋がります。

 

 子宮に何らかの異常があれば、まず生理に異常がが出てきます。出血量が増えたり、いつもと違う痛みを感じたり、また月経以外に出血したら要注意です。

あなたが子宮からのSOSのメッセージを受け取ったら、もう少し様子を見てからなどと思わずに、ためらわず、恥ずかしがらずに産婦人科の扉をたたいて下さい。

 

一般社団法人右京医師会 細田 修司

11月号 「何たる造化の妙」

 

  今から400年前の1616年に、シェークスピアは51歳で亡くなっています。
そのシェークスピアが人間を評して「何たる造化の妙であることよ。」と、洞察しています。
例えば、毎日3000個の細胞が癌になっていますが、その細胞をリンパ球が壊してくれています。風邪のウィルスや腸炎のウィルスに感染しても、リンパ球が戦ってくれています。腸の細胞が生まれてから死ぬまでの細胞周期時間は24時間です、昨日の腸の細胞は糞となり、今日の腸は新しい腸なのです!
このように、常に新陳代謝が起こって同じ人間のように見えるけれども、その細胞はいつも入れ替わっている。この新陳代謝の摩訶不思議をシェークスピアは理解し、そうして「造化の妙」と捉えたのでした。
一方、周(しゅう)の易(えき)経(きょう)には「身を養うものは、病を未だ然らざるに防ぐ」という発想があります。「未病」という発想です。これは天動説です。これは錯覚です。天が動いているのではなく、地球が自転し太陽の周りを公転しているから、昼と夜・春夏秋冬があるのです。細胞が死んだら又新しく生まれ変わり、いつもどこかで癌化し感染しているけれども、自ら新陳代謝しているのが本当の姿です。千本今出川上がった処に棘抜き地蔵がありますが、健康な体に棘が刺さって病気になっているのではなく、棘は毎日刺さっていて毎日毎日人間はその棘を抜いている。と、考える方が正しいと思います。
毎朝、生まれ変わった自分がいる、と考えると背中から熱い「気」が起こり全身にみなぎっていく感じがします。
このように生物は「うまく」造られているのですが、寿命はあります。加齢とは「麈(ちり)が溜まる」ことです。皮膚(外胚葉)の麈(ちり)は外に落ち、腸管(内胚葉)の麈(ちり)は糞便となって外界に出ますが、中胚葉(血管)の麈(ちり)は溜まります。勿論、塵処理のリンパ球やマクロファージは働いてくれますが足りません。老化とは脳に塵が溜まり、血管に塵が溜まることで、これは受け入れるしかありません。そのことを悟った上で貴重な1日を始めるのが人間だと思われます。

 

一般社団法人右京医師会 森村 達夫

10月号 「腎臓病」

 

 腎臓は尿をつくり、その中に体内でつくられた老廃物や有害な物質を排泄する大切な臓器です。そのほかに、体内の酸とアルカリや電解質のバランスをとったり、血圧をコントロールしたり、血液を作ることに関わったりしています。このように、腎臓は私たちの生命・健康を守るうえで重要な働きをしていることから、肝腎要の臓器といえます。しかし、腎臓は「沈黙の臓器」ともいわれるように、症状は悪くなるまでなかなか現れません。自覚症状がみられるときには、かなり進行していてすぐに透析療法によって血液の浄化が必要になることも少なくありません。
では、腎臓の働きが低下する腎不全への進行を防ぎ透析療法にならないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
2002年に米国で慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が提唱されました。CKDとは慢性的に腎機能が低下している状態を意味する新しい概念で、尿蛋白が陽性か腎臓に形態学的変化がある場合、あるいは糸球体濾過値(腎機能検査法の一種で、糸球体から単位時間に、どれだけの濾液が濾過されるかを表すもの)が60ml/min以下のいずれかが3か月以上持続する状態を意味します。わが国では約2000万人がCKDの状態にあると推定され、現在大きな問題として注目されています。
CKDが問題にされる理由の第一は、尿蛋白が陽性の場合、陰性に比べて腎機能が2倍以上の早さで低下し末期腎不全に至ることです。第二の問題は、CKD患者は保存期腎不全の期間に心筋梗塞など心血管系の病気を発症し、亡くなるリスクが高い点です。保存期腎不全状態が心血管系の動脈硬化を促進するためです。
最近、世界各国でCKD対策がなされるようになり、腎臓病の早期発見と心血管系疾患の発症予防が叫ばれています。尿検査の定期的実施と異常がみられた場合の腎臓専門医との連携、食事療法や運動療法の啓発、自らできる生活管理(体重測定:適正体重の維持、血圧測定:血圧の管理、試験紙による尿検査、禁煙、禁酒、感染対策など)が、重要な留意点として挙げられます。
わが国でも、CKDを国民的医療課題として捉え、国民に対してCKDの実態や危険性、CKDへの対策などを啓発すると共に、医師に対しても積極的な対応をとることを呼びかけています。実際、放置すると末期腎不全に至ると言われていた、ある腎症には現在積極的な治療法が行われ、治癒する例も増えています。また降圧剤の種類を選ぶことにより、末期腎不全への進行を延長させることも可能となっています。
腎臓病を早く見つけるために・・・
職場や地域の健康診断などを積極的に利用して、年に1度は尿検査や血液検査を受けることが大切です。

 

一般社団法人右京医師会 井上 亘

9月号 「子どもは、10月よりB型肝炎ワクチンが無料で受けられるようになります」

 

 平成28年4月生まれからの子どもは、今年10月からB型肝炎ワクチンが無料で受けられるようになります(定期化されます)。1歳になるまでが定期化の対象です。標準的な接種対象は、生後2ヶ月、3ヶ月、7−8ヶ月の3回接種です。肝炎はウイルス感染によって起こることの多い病気です。B型肝炎ウイルスは唾液や汗、涙からも感染する可能性があります。特に10歳未満の子どもがかかると慢性化することがあります。B型肝炎はワクチンによって予防できる病気です。定期接種の対象になってない方もワクチンを受けることをお勧めします。慢性肝炎が続くと、肝硬変、肝がんに変化していく可能性のあるものです。B型肝炎ワクチンを受けましょう。

 

一般社団法人右京医師会 井上 勝裕

8月号 「“脚気”を知っていますか?」

 

 “脚気”は、ビタミンB1の欠乏で起こります。ビタミンB1の欠乏は、偏(かたよ)った食事やアルコールの多飲、抗癌剤等の薬剤の摂取等で起こります。

 

 症状は、手足のしびれや身体の怠さ、脚の浮腫、さらに進行すると動悸や息苦しさが起こり、治療をしないとおしっこが出なくなり、死に至るという恐い病気なのです。
治療はビタミンB1の注射、それに内服で回復します。
この病気は、戦前・戦争中の食料難の時代には多かったのですが、今でもまだあるのです。

 

 夏場、「食欲がなく素麺だけで生活していたら、身体が怠くなり脚が腫れてきた」とか、ダイエットのために「コンビニおにぎりと菓子パンだけで生活していたら、足のしびれが出てきて、脚が腫れて動悸が止まらない」とか、「大酒飲みで酒だけ飲んでいたら、突然怠くて起き上がれなくなり、脚が腫れて息苦しい」等の症状で診察に来られることが多いです。B1は、ほぼ18日間欠乏状態が続くと脚気を発症するそうです。
では、予防するには何を食べれば良いでしょう。
バランスの良い食事が基本ですが、ビタミンB群を多く含む豚肉や、米ぬかを使ったぬか漬け野菜などはお勧め食品です。

 

一般社団法人右京医師会 山﨑 直子

7月号 「日々のメンタルヘルス」

 

「運動」がおススメです。
心身一如と言われるように精神と身体はつながっており、精神面での健康維持のためにも体の運動は必要です。散歩やストレッチをはじめ自分の好みのスポーツなどで汗をかいたりして得られる爽快感や達成感は心の健康にも効果があります。
“何も考えない”時間があるのが良いですね。精神科の領域でも散歩療法や各種スポーツを取り入れたリハビリプログラムがあります。アルコール依存症の分野でも「行軍療法」などが昔からあります。

 

適度のストレスなら大丈夫です。
日中の活動(仕事や家事・勉強)が過密にならないように心掛けることは言うまでもなく大切ですが、“やりがい”という点ではある程度の負荷はむしろ必要で、ストレスは大きすぎなければあっていいと言われるようになってきました。

 

睡眠・休息は意識してとりましょう。
 睡眠時間は個人差がかなりあります。3時間から12時間くらいと人によってマチマチです。“良く眠れたなあ”という快眠・熟眠感があることが第一です。多少寝不足の日があっても翌日や翌々日に補えれば充分です。
また、休息はとても大切で、90分活動したなら15分程度の一息を入れるようにしたいものです。

 

“楽しむこと”“笑うこと”が百薬の長です。
日々の生活において、ささやかな事でも楽しめることや喜べることがあればよいですね。音楽・絵画・芸能・グルメ・旅行・スポーツなどの趣味はもちろん、仕事に関することでもよいのではないでしょうか?他の人とともに楽しめ、笑い合えればさらに良いことでしょう。少々の憂(う)さは晴らしてくれますよ。

 

一般社団法人右京医師会 黒川 能孝

6月号 「お茶の健康成分」

 

 普段何気なく飲んでいるお茶ですがお茶にはさまざまな健康成分が含まれています。
お茶に含まれる成分の代表が「カテキン」。このカテキンには、コレステロールの吸収を抑えるという働きがあります。食後にお茶を飲むことで血中コレステロールの上昇を抑えることが期待できます。また抗菌作用があり虫歯予防や食中毒予防にも役立つといわれています。
「カフェイン」80℃以上の高温の湯で抽出されやすい苦み成分です。このカフェインを摂取すると脂肪の燃焼が促進され運動の30分から60分ほど前に飲むと効果的に脂肪を燃やせるそうです。また覚醒作用もあり眠気を防いだり、知的作業能力や運動能力を向上させる効果があるといわれています。
「テアニン」80℃以下の低めの温度で入れると、カテキンやカフェインの渋みや苦みが抑えられ甘味や旨みを感じられるその成分です。緊張を和らげる効果と心身をリラックスさせる効果があります。テアニンにはカフェインによる興奮を抑制する働きがありその作用を穏やかにします。穏やかな興奮状態が集中力を高めるので、勉強や仕事前にぬるめに入れたお茶を飲むのもおすすめです。
「ビタミン」お茶の葉には10種類のビタミンが含まれています。ビタミンには水に溶ける水溶性と溶けない不溶性がありお茶を入れたときに湯に溶けだす主な水溶ビタミンはビタミンCです。ビタミンCには抗酸化作用があり紫外線の対策にも役立ちます。ビタミンCは体内に蓄積できない栄養素なので2~3時間おきにこまめに摂るのがよいとされています。
冷茶はこれからの季節におすすめです。作り方は簡単です。水1Lに対してお茶の葉をお好みで10~20g程度入れて1時間ほどおいておくと旨みと甘味のあるすっきりした味わいのお茶になります。賞味期限は1日です。
お茶でこの暑さを乗り切りましょう。


訪問看護ステーション右京医師会  藤澤 泉利

5月号 「特定健診を受けましょう」

 

 現在、京都市では個別の医療機関で、また各学区での集団健診会場におきまして特定健診を実施しております。特定健診はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目し、生活習慣病の危険因子(内臓脂肪型肥満や高血圧・高血糖・脂質異常等)を調べるものです。


 京都市国民健康保険にご加入の40~65歳の方は500円、65~74歳の方は無料で受診いただけます。詳細は京都市から4月18日以降に送付される「受診の手引き」に記載されておりますのでご確認下さい。また後期高齢者医療の方、40歳以上の生活保護受給者の方も受診頂けます。具体的な実施要領につきましては、京都市から4月25日以降に配布される「受診の手引き」等でご確認下さい。但し、後期高齢者医療の方のうち、要介護・要支援の認定を受けておられる方には手引きが送付されませんので、市民新聞等をご参照下さい。また、被用者保険(協会けんぽ等)にご加入されている方も各保険者が実施している特定健診の対象となる場合がございます。ご加入の保険者にご確認頂ければと思います。

 

 皆様方になるべく受診してもらい易い環境を整えようと京都市も色々な工夫をされています。具体的には27年度より7項目にも及ぶ健診項目の大幅な拡充。真夏に行われる集団健診の日程を、可能な限り受診し易い春秋開催に変更され、やむなく夏季開催する場合はレンタル扇風機の用意。また、仕事で平日の受診が困難な方には各区役所等での休日健診の実施(居住区以外の会場でも受診可能です)。また、28年度は希望される方には検尿容器の事前配布(集団健診会場での受診に限ります)が行われる様になりました。

 

 この様に京都市も地道な取り組みを行っておりますので、普段医療機関を受診されない方も、年に一回は特定健診を受診され、ご自身の身体の状況と向き合われる事をお勧めします。

 

一般社団法人 右京医師会 米林 功二

4月号 「C型肝炎の新しい治療ってなに?」

それはね、「インターフェロンフリー治療」のことだよ。

 

 最近、テレビを見ているとC型肝炎の治療に関してのコマーシャルをよく見かけます。新しい治療法があるって言ってますが・・・。


そもそもC型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに感染しておこる肝臓の病気です。C型肝炎は主に血液を介して感染します。日本ではC型肝炎ウイルスが発見される前に受けた輸血や血液製剤、使い回しの注射が原因であることが多く、慢性肝炎のうちの約70%を占め、無症状の人を含めるとC型肝炎ウイルス感染者は150万〜200万 人いると推測され、「21世紀の国民病」と呼ばれることもあります。「沈黙の臓器」である肝臓は肝炎になっても自覚症状を感じにくいため、感染していることに気づかない方、あるいは感染を知っていても放置したまま治療を受けない方が多いという問題もあります。この「自覚症状がない」というのが厄介で、C型肝炎ウイルスに感染し、知らないうちに約70%の方が慢性肝炎へ、症状がなくて医療機関にも受診しないで無治療で放置すると約30年で「肝硬変」に、約40年で「肝がん」に進行することがあります。

 

 このような経過をたどらないためには、ウイルスを排除する「抗ウイルス療法」が第一選択となります。体内からウイルスを排除すれば、肝硬変や肝がんに進展するリスクを下げることができるわけです。

この「抗ウイルス療法」は、
①  1992年~インターフェロン単独(注射) 
②  2004年~インターフェロンを中心とした治療法(注射+飲み薬)
③  2014年~飲み薬(DAA(直接作用型抗ウイルス剤))のみによる治療:「インターフェロンフリー治療」

と目まぐるしく治療法が進化してきました。


「インターフェロンフリー治療」は従来のインターフェロンといった注射薬を使わず、DAA(直接作用型抗ウイルス剤)といった飲み薬のみで行う治療法です。この新しい治療が登場したことにより、今までインターフェロン治療を受けることができなかった患者さんや、従来の治療では充分な効果が見られなかった患者さんも治療できるようになりました。

 

 インターフェロンは、ウイルス感染によって体内でつくられるタンパクを薬として治療に利用しています。それに対してDAA(直接作用型抗ウイルス剤)は、直接、C型肝炎ウイルスを攻撃しウイルスの複製を阻害することができる新しいお薬です。患者さんにとっては、注射をせず飲むだけでC型肝炎ウイルスを治療してしまう、今までとは比べ物にならないほど楽な治療です。が、飲み忘れが絶対ないようにしないといけませんし、副作用もあるわけですので、実際にDAAが使えるかどうか、効果があるかどうかは医療機関で相談する必要があります。また、DAAは非常に高価な薬ですが、DAA含め種々の治療での治療費に関し医療費助成が受けられる制度があるためお住まいの地域の保健所でご相談ください。

 

一般社団法人 右京医師会 寺村 和久

3月号 「不注意?注意散漫?めんどうくさがり?

 

 家を出るときに、家の鍵、自転車・自動車のキー、携帯、財布、定期券、カバンなどを忘れて出かけてしまう。「そういえば、若いときは忘れ物が多かったなぁ」ということはありませんか? 片づけが苦手、散らかしっぱなし、掃除をしても物が捨てられない、部屋にはいろいろなものがいっぱい並んでいる。使えるかも?と思っておいておく、ということがありませんか?
カバンの中は、いろいろなものが入っていて、「これもいるかも?」と思って入れているけど、使う機会はほとんどない。カバンはとても重くなってしまって何が入っているかも覚えてないぐらいということはありませんか?

 

 空気が読めない、人の話が聞けない、人の気持ちを考えない対応をしてしまう。本当はそういうことができるようにしたいのにできなくて、仲間外れにされたり、反感をかったりしてしまうということはありませんか?

 

 「会議中に、ふと他のことを考えてしまい、討論の流れがわからなくなる」「授業や講演中に、ふと聞いていない時間がある」「映画をみていて、他のことを考えてしまい、ちょっと内容がわからない場面がある」ということはありませんか?
注意散漫、気が散る状況ですね。

 

 「待ち合わせの時間にいつも遅刻してしまう」「診察の予約時間に遅れてしまう」「予約を忘れていた」「しなければいけないことがたくさんあって、大事な書類の提出期限が守れない」「自分がやりやすいものを先にとりかかってしまう」「レポートの提出が間に合わなかった」というようなことはありませんか?


掃除をしながら、炊事の段取りをする。煮物をしながら、フライパンでも炒め物をして、その間にまな板で食材を切る。そういう複数の作業を同時にするのは苦手、ということはありませんか?
上司から指示された仕事がいくつかあると、どれか一つ間に合わなくてできていないことからミスと考えられ、叱られたことはありませんか?
いろいろ用事を依頼され、自分のキャパシティを超えてしまっても、「まあ、頑張ればできるかも」と思って引き受けたけど、やっぱりできずにがっかりする状況になったことはありませんか?
優先順位をつけて計画的に進めるのが苦手、手間のかかる方を先延ばしにしてしまうという状況ですね。

図書館や会議、仕事場などでもじっとしていられず、ボールペンをカチカチさせたり、指で机をコツコツ叩いてしまう、貧乏ゆすりが多い、などはありませんか?
落ち着きがない、多動な状況ですね。

 

 こういうことは誰でも、何かしらいくらかは経験していることと思います。そういう自分の特性やくせを若いときから学習して、自分なりに修正してやり方を工夫してきたはずです。ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、その特性が強いのが特徴です。大人になっても、一部の症状が強く残っていることもあります。仕事や生活、対人場面でもその特性が影響して、うまく進まないと感じることがあります。うまく進まないことが続くと、さらにもう何もやる気がなくなってしまうこともあるかもしれません。
一人で悩まずに、一度、医師に相談してみてもいいかもしれません。


 

一般社団法人 右京医師会 国澤 正寛

2月号 「ロコモティブシンドローム」をご存知でしょうか。

 

今回は主にご年配の方を対象に、お話させていただこうと思います。「ロコモティブシンドローム(ロコモ)って何?」と聞かれた場合、「運動器の障害により,  要介護状態となるおそれがある、または要介護となった状態」という答えになります。???いきなり慣れない話で、困惑される方もおられると思いますが、少しずつ話を進めていきたいと思います。

 

 体の部位で、「呼吸器」や「循環器」ということは耳にするかと思いますが、同様に「運動器」という言葉もあります。筋肉や骨、軟骨、神経、椎間板などのことです。どれかひとつでも具合が悪いと身体はうまく動けません。日本は、平均寿命が延びてきていますが。安心はできません。「健康寿命」という言葉はご存知でしょうか。健康上の問題がない状態で、日常生活を普通に送れる期間のことです。

 

 平成25年度厚労省、総務省の統計では、平均寿命と、健康寿命は男性で約9年、女性で約13年の差があります(もちろん健康寿命のほうが短いです!!)。具体的には、男性で健康寿命71.2歳(平均寿命80.2歳)、女性で健康寿命74.21歳(平均寿命86.6歳)とうい結果が出ています。平成25年度厚労省国民生活基礎調査で、介護が必要になった(要支援・要介護)原因は、脳血管疾患(脳卒中など)が19%に対して、運動器の障害が25%と、意外と多くなっています。

 

 人類が、これほど長期間、運動器を使用し続ける時代はこれまでありませんでした。皆様が安心して健康に暮らしていただくにはロコモという概念をご理解いただき、若い方も、50才台、60才台と年齢を重ねるとうまく動けなくなる可能性は十分にあるため、あわせてご理解いただきたいと思います。

 

 ロコモを防ぐには、運動器の衰えを防ぐことが重要なのですが、やりすぎは禁物です。軟骨や椎間板、神経を痛め故障し、逆に運動器疾患となってしまうことがあります。運動やウォーキングをすればするほど良いという風潮もあり、患者さんでもそう思って病状を悪くしている方もあります。よく考えながら運動をおこなうべきだと思います。

 

 話が長くなりましたので、今回はこの辺りにしたく存じます。次回機会があれば、ロコモチェック、予防などについてお話したいと思います。最後までありがとうございました。


 

一般社団法人右京医師会 池田 一博

1月号 コンタクトレンズのお話

 

 コンタクトレンズが世に出てから随分経ちますが、日々診療していますと時折トラブルを起こしている症例に出会う事があります。この場合ユーザーの管理方法に問題ありとされることが多かろうと思われますが、実は充分な知識が伝わっていないことによる誤解から来るケースも多く
医療機関の説明不足によるところも大きいのではと考えております。
そこで今回はコンタクトレンズによる無用のトラブルを避ける為にこれだけ押さえておきましょうというポイントを出来るだけ簡単にお伝えしたいと思います。

 

 まず、装用時間を守ることですが一般にコンタクトレンズは1日の装用時間の限度は12~14時間(カラーコンタクトの場合は6~8時間)です。着け過ぎる(装用時間の限度を超える)と角膜の酸素不足により角膜内皮細胞が減ってしまうのです。一般にコンタクトレンズの定期検査とは角膜の傷や結膜炎の有無を診察してもらっていると思われがちですが、一番の目的は角膜内皮細部数のチェックです。角膜内皮細胞は角膜内に水分が侵入しないようバリアの役目をしていますがこれが減ってしまうと最後は角膜が濁ってしまい元に戻らなくなってしまいます。ところが自覚症状が末期になるまで全く出ない為、眼科での定期チェックを要するわけです。ちなみに着けすぎる原因として一番多いのが「眼鏡を持っていない」または「眼鏡を持っているが度が合っていない」です。度の合った眼鏡は必ず持っておきましょう。

 

 次に、コンタクトレンズ用の目薬を使用することですが、これも一番の目的は角膜内皮細胞数の減少を予防する為に使用します。角膜への酸素供給は空気中から直接取り込む方法ともう一つ、涙液に溶け出した酸素を取り込む方法がありますが、コンタクトレンズの使用によって目が乾くと後者による酸素供給が不足します。酸素供給が不足すると前述の如く角膜内皮細胞が減少するリスクが増えることとなります。

 

 このようにトラブルを避ける為には以上の点を押さえておくことです。まとめますと「装用時間を守る」「その為に度の合った眼鏡を持っておく」「乾かないよう目薬を持っておく」、眼科検診の一番の目的は「角膜内皮細胞数のチェック」です。是非覚えておいて頂ければと思います。


一般社団法人右京医師会 今村 貞洋